本記事は、菊地 温以氏の著書『最強のポートフォリオをつくる金投資入門』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
投資を始めたいけど「どの投資を始めればいいかわからない…」
そんな方は、ZUU公式LINEで”無料投資診断”を受けてみてください。
※上記画像をクリックしてLINE登録を行うと「【簡単30秒】無料投資診断」を実施できます。パソコンでご覧の方は、クリック後QRコードをお持ちのスマートフォンで読み取ってください。
「何から始めていいかわからない…」 「投資は大切だとわかっているけど、手をつけられていない…」
と感じている方は、投資開始の第一歩としてみてください。
投資を始めたいけど「どの投資を始めればいいかわからない…」
そんな方は、ZUU公式LINEで”無料投資診断”を受けてみてください。
※上記画像をクリックしてLINE登録を行うと「【簡単30秒】無料投資診断」を実施できます。パソコンでご覧の方は、クリック後QRコードをお持ちのスマートフォンで読み取ってください。
「何から始めていいかわからない…」 「投資は大切だとわかっているけど、手をつけられていない…」
と感じている方は、投資開始の第一歩としてみてください。
金と通貨の関係は?
通貨、すなわちお金は、もともと「金(ゴールド)」として存在していました。しかし、最初から金が使われていたわけではありません。昔の人々は、貝や石といった自然界にある物を価値あるものとして認識し、それを物々交換に用いていました。これらの物は、地域ごとに異なる基準で価値が決められていたため、交易が限られた範囲内で行われる限りにおいては問題がなかったのです。
このような歴史的背景から、お金にまつわる漢字には「貝」の字が含まれているものが多くあります。たとえば、「財」「貨」「貯」など、いずれも貝に由来する漢字です。これは、当時の人々が貝を通貨の一種として重視していたことを物語っています。
しかし、交易の範囲が広がり、より遠方の地域と取引をするようになると、地域差のある価値基準や物々交換の不便さが次第に問題となってきました。そこで登場したのが、金です。金は普遍的な価値を持ち、どの地域でも価値が認められるうえに、持ち運びが比較的容易であったため、通貨として適していました。このようにして、金が通貨として広く使われるようになったのです。
一方で、金そのものにも問題がありました。たとえば、大量の金を運ぶのは労力がかかり、破損や盗難のリスクも伴います。また、偽造された金が流通する恐れもありました。こうした課題を解決するために、金そのものではなく、金と引き換えができる兌換券、すなわち紙幣が登場しました。紙幣は軽くて持ち運びやすく、また管理もしやすいため、交易の安全性と効率を大きく向上させました。
こうして、金が基盤となった貨幣制度が確立され、私たちが知る「お金」という概念が発展していったのです。物々交換から金を経て紙幣へ、そして現代における電子マネーや仮想通貨のように、お金の形態は時代とともに変化し続けていますが、その根底にある「価値をやり取りする」という目的は、古代から現在まで一貫しているのです。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、多くの国が金本位制を採用しました。金本位制とは、通貨の価値を一定量の金に裏づける制度です。各国の通貨が金との交換を保証されていたため、国際的な取引においても信頼性が高まっていました。たとえば、アメリカでは1ドルが特定の量の金と交換できるように約束されており、この制度によって通貨の価値が安定していたのです。
金本位制の最大の利点は、通貨の供給が金の保有量によって制約されていたため、過剰な紙幣の発行が抑えられ、インフレのリスクを軽減できた点にあります。紙幣の価値は金によって保証されていたため、人々は通貨に対して信頼を持ち、物価の安定にも寄与しました。
しかし、金本位制にはデメリットもありました。その一つが、金の供給が経済成長のペースに追いつかない場合に発生するデフレーション(デフレ)のリスクです。経済が拡大し、商品やサービスの取引量が増える一方で、金の供給が限られている場合、通貨の価値が相対的に高まり、物価が下がってしまいます。デフレが進むと、企業の収益が減少し、失業や景気の停滞を引き起こすことがありました。
結局のところ金本位制は、つぎのような複数の要因により、最終的に崩壊することになりました。
まず、第一次世界大戦がその大きな契機となりました。多くの国が戦費を賄うために大量の通貨を発行した結果、通貨の価値が金に裏づけされなくなりました。金本位制では、通貨の価値は一定量の金によって保証されることが基本でしたが、戦時下では国が急激に資金を必要としたため、金にもとづかない紙幣が大量に発行されました。その結果、通貨の信頼性が失われ、戦後に残された財政赤字も加わり、金本位制の維持は困難となったのです。
さらに、金本位制には経済成長と通貨供給のバランスに問題がありました。金本位制では、通貨の供給量が国の金保有量に依存していたため、経済が成長する際に必要な十分な通貨を供給することが難しくなります。とくに、経済が成長期にあるときには、流通する通貨の量が不足し、経済活動が抑制されてしまうことがありました。くわえて、不況時には、柔軟に通貨供給を増やすことができなかったため、景気回復が遅れる要因ともなったのです。
1929年に発生した世界的な大恐慌も、金本位制に致命的な打撃を与えました。深刻な不況のなかで、各国は通貨供給を増やして経済を刺激しようと試みましたが、金本位制の下では通貨発行が金の保有量によって制限されているため、その手段が制約されていました。この制度的な硬直性が、経済回復の遅れにつながり、最終的には多くの国が金本位制を放棄せざるを得なくなったのです。
こうした歴史的経緯から、金本位制はその信頼性と安定性において一時的には大きな役割を果たしましたが、経済の成長や変動に対応する柔軟性を欠いていたため、時代の変化に適応できなくなり、崩壊へと至ったのです。
第二次世界大戦中の1944年、国際経済の安定を図るために設立されたのがブレトンウッズ体制でした。この体制では、米ドルが金と交換可能な唯一の通貨として位置づけられ、ほかの主要通貨はドルに対して固定相場制を採用する形で運用されました。つまり、ドルは金に裏づけられた「基軸通貨」としての役割を担い、世界の金融システムの中心に位置していたのです。
しかし、このブレトンウッズ体制もまた、1971年に終焉を迎えました。その背景には、いくつかの複合的な要因がありました。まず、戦後の経済復興が進むなかで、アメリカは大量のドルを世界中に供給する立場となりました。とくに、ベトナム戦争の軍事費や国際援助をはじめとするアメリカの海外支出、により、ドルは急速に海外に流出していきました。その結果、各国はドルを大量に保有するようになり、一方でアメリカの金準備高は減少していきました。この「ドル過剰」と「金不足」の不均衡が、ブレトンウッズ体制の持続可能性を次第に脅かしていったのです。
アメリカ政府は、この不均衡を是正しようと試みましたが、ドルの発行量に対して金準備高が追いつかなくなり、実際には金との交換を制限せざるを得なくなりました。
これにより、各国がドルと金を自由に交換できるというシステムに対する信頼が徐々に低下していきました。とくに、ドルに対する不信感が強まるなか、各国は保有するドルを金に交換しようとする動きを活発化させたのです。
このような背景のもとで、ついに1971年8月15日、アメリカのリチャード・ニクソン大統領は、ドルと金の交換を一時停止すると発表しました。この出来事は「ニクソン・ショック」として知られ、これによってドルと金のリンクは事実上断ち切られました。この発表を受け、ブレトンウッズ体制は終了し、各国は固定相場制から変動相場制へと移行していくことになりました。
ブレトンウッズ体制の崩壊は、戦後の国際経済の変化、とくにアメリカの経済政策や軍事支出の影響、そして金にもとづく通貨制度の限界が重なった結果といえます。この出来事を契機に、世界の通貨制度は大きな転換点を迎え、現代の変動相場制へと移行していくことになったのです。
ブレトンウッズ体制が崩壊したあと、世界の通貨制度は大きな転換を迎え、現在の「管理通貨制」へと移行しました。この新しい通貨制度では、各国の通貨の価値が金やほかの通貨に固定されるのではなく、市場の需給によって変動する仕組みとなっています。これが、いわゆる「変動相場制」です。
管理通貨制では、通貨の価値はもはや金などの実物資産に裏づけられていません。かつての金本位制のように、通貨を一定量の金と交換できるという保証はなく、金との交換性も完全に失われました。その代わりに、通貨の価値は各国の政府や中央銀行の信用にもとづいています。具体的には、各国の経済政策、中央銀行による金融政策、そしてその国の経済力や市場の信頼性などが通貨の価値を支えています。
この管理通貨制のもとでは、政府や中央銀行が通貨供給量を自由に調整することができるため、インフレやデフレの管理、経済の安定化を図るための政策がより柔軟に行えるようになりました。ただし、その一方で、通貨の価値は市場の変動に大きく影響されるため、為替レートが不安定になりやすいという特徴もあります。
このように、管理通貨制は各国が経済の状況に応じて自国の通貨政策を決定できる自由度をもたらした一方で、市場の信頼と政府・中央銀行の運営能力に大きく依存する制度となっています。
高校卒業後、中華料理人からエンジニアと異色のキャリアを積み、2000年に中央電力(現レジル)に入社。
後に取締役就任。2008年からは複数の企業を立ち上げ、M&Aを多く手掛ける。2019年にアプレをMBO後、特に金やプラチナの精錬、製造、再利用プロセスを高度化し、サステナビリティの視点からも金リサイクルの可能性拡大に尽力。
会社経営の傍ら投資家としても活動し、金を活用した独自のポートフォリオ戦略を確立している。
- 資産運用の中で他にはない金の魅力とは?
- 金と通貨の深い関係とは?
- そもそも「金投資」はどういうもの?
- 金ってどこで買うの?
- 金のかしこい売り方は? いつ、どう売る?
- 金とインフレ・デフレの関係性とは?