資産運用をしないことは、「機会損失」といわれる。それは、リターンを得るチャンスを逃すだけでなく、資産運用を通じて得られる知識や経験を積む機会も失うことになるからだ。資産運用は、単なる利益を追求する手段ではなく、経済や金融に対する理解を深める「学びの場」でもある。

本記事では、資産運用がもたらす「リターン」と「知識の蓄積」という2つの価値について解説する。

資産運用をしないことの「機会損失」

資産運用で得る「リターン」と「知識」。その一歩が人生を豊かにする
(画像=Elnur / stock.adobe.com)

資産運用をしないことで生じる機会損失は、大きく2つに分けられる。

リターンの機会損失

1つ目は「リターンの機会損失」だ。例えば100万円を運用して年利5%が得られるとしよう。この場合、資産運用をしていないと1年後に得られるであろう、約5万円のリターンを得るチャンスを逃すことになる。複利で考えると機会損失の重大さをより本質的に理解することができる。

100万円を10年間現金で保有する場合と、年利5%で運用してリターンを再投資しリターンがリターンを生む複利効果が起きる場合を比較すると以下のようになる。

経過現金で保有複利で運用
0年目100万円100万円0円
1年後100万円105万円5万円
2年後100万円110万2,500円10万2,500円
3年後100万円115万7,625円15万7,625円
4年後100万円121万5,506円21万5,506円
5年後100万円127万6,282円27万6,282円
6年後100万円134万96円34万96円
7年後100万円140万7,100円40万7,100円
8年後100万円147万7,455円47万7,455円
9年後100万円155万1,328円55万1,328円
10年後100万円162万8,895円62万8,895円
※税金などは考慮せず
※複利運用結果は1円未満を四捨五入
出典:野村證券「マネーシミュレーター みらい電卓 運用編」

現金で保有すると10年後も100万円は100万円のままだが、年利5%で複利運用すると162万8,895円にまで増える。その差は62万8,895円だ。

さらに、元金が大きくなればなるほど、複利の効果による増加額は比例して大きくなり、その差もより顕著になる。例えば、元金が1,000万円の場合、同じ年利5%で複利運用すると10年後には1,628万8,946円となり、その差は628万8,946円に達する。

知識の蓄積という機会損失

資産運用をしないことで失われるのはリターンだけではない。「知識の蓄積」という重要な機会も逃してしまう。株式投資や外貨預金といった資産運用を行うことで、経済や世界情勢が「自分ごと」として捉えられ、情報収集が自然と習慣化される。

これにより、投資を通じて実践的な知識が蓄積され、幅広い視野と深い洞察力が身につく。資産運用をしない選択は、こうした学びや成長のチャンスを逃すことを意味する。

資産運用で得られる「幅広い知識」

資産運用で得られる知識は多岐にわたり、さまざまな視点やスキルを養うことができる。

投資に関する知識

資産運用を始めると、株式や外貨預金などの金融商品の特性だけでなく、それらに影響を与える要因への理解も深まる。例えば、為替レートは金利差や債券利回りの影響を受けるため、投資を通じてこれらの仕組みも学べる。リスク管理や分散投資の手法を学ぶことで、実生活の意思決定力も向上するだろう。

経済に関する知識

資産運用では、経済指標や景気動向を読み解く力が養われる。日本経済だけでなく、世界経済に目を向けることで、グローバルな視野が育まれる。例えば、GDP成長率や失業率の変動が投資先に与える影響を考えることで、経済全体の流れを理解する力が自然と身につくはずだ。

政治に関する知識

資産運用を行うことで、政治的リスクや政策変更がマーケットに及ぼす影響を把握するスキルが培われる。これにより、国内外の政治情勢に詳しくなり、日常生活でもニュースや出来事をより深く理解できるようになる。

シニア期に備えるための資産運用

資産運用は、老後のリスクに備え、安定した生活基盤を築くためにも欠かせない。以下の3つのリスクに対応する手段として特に有効だ。

医療費リスクに備える

日本の医療保険制度の場合、高齢者の医療負担は小さめだ。しかし日常的に治療が必要な疾病にかかったり、保険外治療が必要となる病気を患ったりすると、想定以上の医療費負担が生じかねない。高齢期に増える可能性がある医療費に備え、現役世代のうちから資産を計画的に運用することには意義がある。

インフレリスクに備える

日本では、長く物価がほぼ上がってこなかったが、近年はインフレが定着しようとしている。現金をそのまま保有しているだけでは、インフレが進む中で資産の価値は目減りし、将来的に生活水準を維持することが難しくなる可能性がある。

このような状況で、資産運用は重要な役割を果たす。インフレ率を上回るリターンを得ることで、資産の実質的な価値を保ちながら、生活の質を守るだけでなく、より安定した経済的基盤を築くことができる。資産運用は単なるリターンを得る手段にとどまらず、将来にわたる安心と余裕を手に入れるための有効な選択肢といえる。

長生きリスクに備える

長生きをすることは、決して不幸せなことではない。しかし“長く生きる”ということは、“それだけ一生涯で支払わなければならない生活費も増える”ということだ。

医療費や日常の支出、趣味やレジャーなど、シニア期には想定以上の資金が必要になることも多い。年金だけに頼るのではなく、資産運用によるリターンを活用することで、こうした長期的な経済的負担を軽減し、安定した生活基盤を築くことができる。

資産運用でリターンと知識を増やそう

資産運用は、単なるリターンの追求にとどまらず、将来の可能性を広げる手段でもある。運用で得たリターンを基に、老後の生活費だけでなく、趣味や学び、新たな挑戦への資金を確保することで、人生の選択肢をより豊かにすることができるだろう。

未来に向けた準備を進めることは、自分自身だけでなく、大切な人たちの安心を支える基盤にもなる。資産運用を通じて、より豊かで充実した人生を目指してみてはいかがだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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