万葉建設株式会社
(画像=万葉建設株式会社)
佐々木 俊一(ささき しゅんいち)――代表取締役
1969 年 3 月 6 日、千葉県生まれ。父が工務店を営んでいたため、幼少期より建設業を身近で感じながら育つ。
1991 年、専門学校卒業とともに、大手ゼネコンに入社。
1995 年、父の体調不良をきっかけに、家業に携わるようになる。
2005 年に、父の工務店から独立、万葉建設を創業、代表取締役に就任、現在に至る。著書に『人づくりの鬼〜10 年で売上 19倍を実現した経営者の仕事術〜』(みらいパブリッシング)がある。
万葉建設株式会社は、2005年1月5日に設立され、一般住宅やビル・マンションの新築・リフォーム、公共建築物の改修など幅広い建設事業を手掛けています。人手不足が課題の建設業界において「人が集まる会社」として急成長を遂げ、人材定着とともに10年でグループ売上を19倍に伸ばしました。その背景には、業界の悪しき慣習からの脱却と「人づくり」への注力があり、協力業者との良好な関係も特徴です。現在は「人を育てる」ためのM&Aにも挑戦し、グループ売上は50億円に達しています。地域活動にも積極的に取り組んでいます。

目次

  1. これまでの事業変遷
  2. これまでぶつかってきた課題や変革秘話
  3. 自社事業の強みやケイパビリティ
  4. 今後の事業展開や投資領域
  5. メディアユーザーへ一言

これまでの事業変遷

—— これまでの事業変遷についてお聞かせください。

万葉建設株式会社 代表取締役・佐々木 俊一氏(以下社名、氏名略) 今年で創業20年になりますが、私がこの会社を立ち上げたのは35歳の時です。その前は、東京のゼネコンに5年ほど勤めていました。そこでは東京都立練馬高校の増築工事に携わり、現場監督として建設業の基礎を学びました。 その後、父が経営する工務店を手伝うことになりましたが、父との考え方の違いがあり、最終的には父の会社を離れて独立し、家内と二人三脚で始めたのが万葉建設の始まりです。

—— 創業時はどのような課題に直面されましたか。

佐々木 最初の3ヶ月間はまったく仕事が取れませんでした。地元の知人や先輩にお願いしても、既存の取引先との関係があるため、新規参入の私にはなかなか仕事を任せてもらえませんでした。そんな中、老人ホームの経営をしている先輩が「老人ホームの玄関ドアの塗装」という小さな仕事を紹介してくれたんです。総工費はわずか5万円でしたが、私にとってはとても大きな一歩でした。

—— 苦労の中でも続けられた理由は何でしょうか。

佐々木 やはり「人の期待に応えたい」という思いが根底にあります。例えば、ある高齢のご夫婦が「檜の家を建ててほしい」と依頼してくださいました。しかし、現場でミスがあり、檜ではなく杉で建ててしまったことがあったんです。その時、私は迷わずお客様に謝罪し、建物を壊してゼロから建て直しました。 お客様の信頼を裏切ることが一番許せませんでしたし、その思いが会社の理念にもつながっています。

—— 苦しい状況を乗り越え、現在の経営方針に至るまでの転換点は何だったのでしょうか。

佐々木 創業から10年間は、木造の新築住宅の営業を中心に行っていましたが、従業員たちが疲弊し、責任のなすり合いが発生するようになっていました。お客様の大切な家づくりに対して、私たちが十分なレベルで向き合えていないと感じたのです。そのため、木造の新築住宅の営業をやめる決断をしました。 そこからは、公共工事や地元企業の施設建設に注力するようになりました。この選択が功を奏し、会社の認知度やブランディングが向上し、徐々に安定した経営ができるようになりました。

これまでぶつかってきた課題や変革秘話

—— 会社経営をされている中で特に大変だったことはありますでしょうか?

佐々木 創業20年の前半10年間では、従業員が長く定着しないという問題がありました。そこからは、従業員満足を高めることが大切だと考え、社員の幸せを優先する方向にシフトしました。社員が満足すれば、自然とお客様にも良い影響を与えることができると考えたのです。

—— 社員満足を重視するに至ったきっかけは何だったのでしょうか?

佐々木 特に誰かを参考にしたわけではありません。建設業は厳しい業界ですが、私自身の経験から、社員がしっかり休める環境を作ることが重要だと感じました。徐々に制度を整え、残業を減らし、社員が早く帰れるようにしました。

万葉建設株式会社
(画像=万葉建設株式会社)

—— その結果、離職率も下がったのでしょうか?

佐々木 はい、以前は離職率が40%近くありましたが、最近では1.8%まで下がりました。これは、社員が安心して働ける環境を整えた結果だと思います。制度を整えることも大事ですが、トップとしての姿勢も重要です。今では、社員に「早く帰るんだよ」と積極的に声をかけることができるようになりました。

自社事業の強みやケイパビリティ

—— 事業の強みをお聞かせください。

佐々木 社員満足を追求するためには、まずコストがかかります。会社としてしっかり売上を立て、利益を確保する必要があります。私は、お客様から指名で仕事をいただく体制を整えました。全自動集客システムと呼べるような仕組みを作り、紹介を通じて仕事が入るようにしています。営業マンはいますが、私自身が取る仕事の方が多いです。いろんな方に紹介され、私に頼みたいと言っていただけるレベルにまで達しています。これが可能になったのは、私がご縁のある方に対して心を砕いて接し、良いものを作っていることを一つ一つ伝えてきたからです。

—— 具体的にはどのような努力をされているのですか?

佐々木 点数を上げるための努力をしています。例えば、帝国データバンクの評点や建設業の経営事項審査の点数、金融機関のスコアリングなど、これらの点数を上げるためにたゆまぬ努力をしています。これは経営者としての判断であり、私だけがやるべきことです。

—— それによって貴社の評価が変わってきたということですね。

佐々木 そうです、様々な方が私たちの会社を見る目が変わり、この会社なら紹介してもいいなと思ってくれるようになりました。ボランティア活動や教育関係の打ち合わせなど、様々な場面で「佐々木さんに相談したい」と言われることが増えています。

今後の事業展開や投資領域

—— 今後の事業展開や目標についてお聞かせいただけますか。

佐々木 創業したのは20年前のことです。その時に一つの目標を掲げました。それは、100億円の会社を作ることです。知り合いや先輩方の中には、5億円や10億円、20億円を達成している方々がたくさんいましたが、100億円を達成した人は見たことがありませんでした。

現在、我々の会社は23億円程の規模まで成長していますが、100億円にはまだ届きません。毎期1.3倍の成長を目指して受注調整をしていますが、それでも100億円は遠い目標です。そこで、万葉建設単体ではなく、グループ全体で100億円を目指すという夢に切り替えました。

メディアユーザーへ一言

—— メディアユーザーの皆さんに一言お願いできればと思います。

佐々木 私たち万葉建設は福祉施設の新築を中心に事業を展開しています。老人ホームや障害者就労支援施設、保育園など、幅広い福祉施設を手掛けています。特に福祉分野に力を入れており、10年以上にわたって活動を続けています。

万葉建設株式会社
(画像=万葉建設株式会社)

福祉施設を通じて多くの方々が幸せになることを目指しています。もし、このインタビューを読んで福祉に興味を持たれた方がいらっしゃれば、ぜひ声をかけていただきたいです。私たちは単なる建設会社ではなく、皆さんの幸せを実現するためのコーディネーターとして活動しています。

氏名
佐々木 俊一(ささき しゅんいち)
社名
万葉建設株式会社
役職
代表取締役

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