
アウトソーシングの中でも人材を扱ったビジネスを得意としており、育成・教育に強みを持った企業です。
近年のEC市場の盛り上りや、今後の人材難を解決すべくEC上でのオンライン接客の強化を目的とし2020年より“接客オンデマンド”のサービス提供を開始しました。
これまでの事業変遷
—— ビーモーション株式会社の事業変遷についてお伺いします。
ビーモーション株式会社 代表取締役・伊藤 空氏(以下社名、氏名略) 弊社は1990年に創業して以来、家電メーカーのセールスプロモーションを行ってきました。チャネルとしては、家電量販店に特化したセールスプロモーションを得意としております。
創業者はメーカー出身だったこともあり、家電量販店でのサービス提供や商品の提供に注目しました。時代の流れとともに、セールスプロモーションの重要性が増す中で、メーカーの思いをどう表現するかを常に考えています。

—— 具体的にはどのようなセールスプロモーションを行っているのですか?
伊藤 我々は人を介したプロモーションを得意としています。メーカー販売員の育成や運営、新商品のイベント、店舗への売れる展示展開や什器設置などを行っています。家電量販店を中心に、メーカー様の代行として営業を受託し、製品の特徴を伝えることに注力しています。
—— ほとんど家電量販店一本で活動されているのですね。
伊藤 はい、30年ほど家電量販店に特化してきた珍しい会社だと思います。専門性やプロ意識を持って取り組んでいますが、最近は労働者人口の変化や家電量販店の再編もあり、人を介したプロモーションだけではなく、eコマース市場にも注力しています。
—— eコマース市場にも進出されているのですね。
伊藤 2020年からは、人をデジタル化した接客オンデマンドというサービスを展開し、直近では生成AIを駆使して提供しています。接客のナレッジをAIに展開していて、お客様に対して商品を勧める際の要素やヒアリング方法など、培ってきたノウハウを活用しています。AIを活用した新しい形での販売促進は、人材不足に悩まれる企業の方にも選ばれています。
自社事業の強みやケイパビリティ
—— 自社事業の強みやケイパビリティについてお聞かせいただけますでしょうか。
伊藤 そうですね。我々は人材を得意としており、いわゆる派遣会社と混同されることもありますが、弊社の派遣事業は全体売上の10%程度です。それ以外はアウトソーシング、請負で行っています。そのため、強みというのは、人を派遣するだけで終わらず、会社全体でメーカーさんと一緒に結果を考え、売ることを基本にしています。
特に家電量販店での接客に長年携わってきたことで、得たノウハウやナレッジを基に、販売までの流れをしっかりと蓄積しています。これを基に人材の育成を行い、店頭に立つ販売員の育成にまで携わることが弊社のプロフェッショナルな部分です。
—— 最近ではAIやデジタルの影響も大きいと思いますが、その点はいかがでしょうか?
伊藤 デジタル化が進んでおり、オンラインでの購買も急増しています。弊社は、そうしたニーズにも応えられるよう、オンラインとオフラインの両面から対応できることも強みです。
—— メーカーさんと一緒に考えるという姿勢が、信頼感を生んでいるのですね。
伊藤 家電量販店の業界は、メーカー間のつながりもあります。弊社はメーカーへの営業活動は積極的には行っておらず、店頭で弊社のスタッフを見かけたお客様からの問い合わせや口コミでお取引が広がっていきました。店頭で働くスタッフのパフォーマンスを実際に見たお客様には、弊社の強みが伝わっていると感じています。
これまでぶつかってきた課題や変革秘話
—— これまでぶつかってきた課題や変革秘話を教えてください。
伊藤 これまでもやっぱり人の育成で苦労しましたね。創業後は小人数で始めて、各人が自分のスキルに依存した形でしたが、事業拡大に伴い、大勢の人を育成する必要が出てきました。その瞬間、「個人の経験をどう共有するか」という大きな課題に直面したわけです。
——育成について、特に難しさを感じた点はどこでしたか?
伊藤 以前はすべて口頭で伝える、口頭ベースな教え方が主流でした。しかし、それでは学習体系に差が生じ、一貫性を欠いてしまいます。そこで、実践的なマニュアルを作成し、それを基に教育システムを構築することを決意しました。その結果、部門を独立させ、人材育成を担う組織を確立するに至りました。
——それは大きな変革ですね。部門を独立させる過程で、どのような困難に直面しましたか?
伊藤 最大の課題は、「指導方法を統一し、誰もが実践できる形にすること」でした。マニュアルによる指導は便利ですが、実際の現場では少しずつ個人の経験に基づくアレンジが加わってしまいます。そのため、教育の標準化と体系化を進めるべく、育成部門を独立させました。

今後の事業展開や投資領域
——今後の事業展開や投資領域について教えてください。
伊藤 現在、私たちは「接客オンデマンド」と呼んでいるサービスの拡大に力を入れています。このサービスは、生成AIを利用した「人が入らない接客」を実現しています。また、「シェアードラウンダー」というサービスでは、複数のメーカーが一人のラウンダー営業を共有するモデルを採用しています。これは、実際に日本の地方都市でコストを抑えたモデルとして受け入れられてきています。

メディアユーザーへ一言
——メディアユーザーへ一言をお願いいたします。
伊藤 私たちは30年以上にわたり、家電メーカーを中心に商品の魅力をお客様に届ける役割を担ってきました。ただ「売る」のではなく、メーカーが伝えたい価値や、お客様の課題を解決するドラマがあります。時代とともに購買行動が変化する中で、私たちは「売る」という行為そのものを進化させ続ける必要があると考えています。そこで、「売るに変化を」というキーワードをミッションに掲げています。
チャネルに関しては家電量販店に限らず、ホームセンターやドラッグストアなど異業態の販売手法も積極的に取り入れ、メーカーと消費者をつなぐ架け橋として役割を果たしてきました。最近では、商品の販売のみならず、情報を的確に届けることにも注力し、お客様のニーズに応えています。これまで培った経験とプロ意識を活かし、新しい形での価値提供に挑戦し続けます。「売る」に課題を持たれている企業さまは、ぜひ私たちをパートナーとしてご検討いただければと思います。
最後に、個人的な話になりますが、私はこれまで4度ビーモーションに入社し、現在は社長を務めています。特殊な経歴を持つ自分をいつも温かく受け入れてくれたこの会社には、本当に感謝しています。何かあれば戻ってこれる場所があるという安心感と、寛容さがこの会社の魅力でした。これからは、その恩返しとして、この会社の良さをを次世代に継承し、さらに発展させていくことが私の役割だと思っています。これからもビーモーションをよろしくお願いいたします。

- 氏名
- 伊藤 空(いとう くう)
- 社名
- ビーモーション株式会社
- 役職
- 代表取締役社長