三重執鬼株式会社
(画像=三重執鬼株式会社)
寺田 忍(てらだ しのぶ)――代表取締役社長
生年月日:1967年9月26日
出身地:三重県
趣味:旅行
経歴:
1990年3月  名古屋商科大学卒業
1990年4月  IT企業にシステムエンジニアとして就職
1994年12月  三重執鬼株式会社入社
2009年4月  三重執鬼代表取締役就任、現在に至る
当社は、三重県鈴鹿市に1978年に創業した物流会社です。 先代が興した百貨店への配送業から始まり、現在は輸送のスペシャリストとしてはもちろん、配送センターや倉庫運営、エコパレット製造など、物流に関連する様々なサービスを複合的に提供できる総合物流企業へと成長しました。2023年に創業45周年を迎えた当社は、業界内でも先進的な環境・安全の取り組みに注力し、持続可能な発展を目指しています。 物流の未来を見据え、10年以上前から、環境に配慮した「グリーン物流」の推進に取り組んできました。バイオディーゼルや、天然ガス(CNG)トラック、電気トラックなどを積極導入とそれによるCO2削減、バイオディーゼル燃料(BDF)使用による地域資源の循環、フードバンク事業支援などを通じ、持続可能な社会づくりに貢献しています。 これらの活動が評価され、2023年2月には「第一回 三重のサステナブル経営アワード」を受賞しています。

目次

  1. これまでの事業変遷
  2. 自社事業の強みやケイパビリティ
  3. これまでぶつかってきた課題や変革秘話
  4. 今後の事業展開や投資領域
  5. メディアユーザーへ一言

これまでの事業変遷

—— 事業変遷についてお聞かせください。

三重執鬼株式会社 代表取締役・寺田 忍氏(以下社名、氏名略) 私は2代目で、先代が昭和53年に創業しました。当時は、お中元やお歳暮の宅配、個人向けの引っ越しなど、ニッチな運送業を手がけていました。規制が厳しい業界の中で、地域の企業を中心に輸送や倉庫業を展開し、成長してきました。近年はM&Aを活用し、物流の梱包事業を拡大。お客様のニーズに応じた事業展開を進めています。

—— 社名についてお伺いしたいのですが、非常に特徴的ですね。

寺田 法人を立ち上げる際、一般的には「寺田運送」といった名前を付けることが多いですが、当時は新参者で仕事を獲得するのに苦労していました。特に引っ越し業では、縁起の良い日を選ばれるお客様が多く、特定の日に依頼が集中しやすかったんです。そこで、仕事を断らずに済む方法を考えました。

暦注の「十二直」の中で運送・引越に最適とされる「執」と、占星術の「二十八宿」で最も吉運とされる「鬼」を組み合わせ、「三重執鬼」と名付けました。この話をお客様にすると、日程を調整していただけることが増え、より多くのサービスを提供できるようになりました。また、社名の総画数は「33画」で、「絶対に潰れない」と言われる縁起の良い数字でもあります。

—— 非常に興味深いお話ですね。いろんな要素が掛け合わさっているのですね。

寺田 当時はまだ小さな会社でしたが、従業員を守り、長く続く企業にしたいという願いを込めました。社名には、そうした思いが詰まっています。

自社事業の強みやケイパビリティ

—— 貴社の事業の強みやケイパビリティについてお伺いしたいと思います。

寺田 私が会社に戻ってきた頃、東京都知事は石原慎太郎さんでした。その時期、東京都がトラックの流入を規制するというニュースがありました。「トラックは排ガスを出すから環境に良くない」と槍玉に上がり、業界全体が批判を受けました。とても悔しかったですね。

そこで、「環境に配慮した輸送を実現できれば、従業員も胸を張って家族に誇れる仕事になるのではないか」と考え、環境対策に本格的に取り組み始めました。

現在、電気トラックやEVトラック、バイオ燃料を活用した輸送でCO2削減を推進しています。その取り組みが評価され、2年前に『三重県サステナブル経営アワード』の第1回受賞企業に認定されました。

また、安全教育にも力を入れており、保険の優良割引を30年間維持しています。全国的に見ても事故が少なく、日々の社員教育と安全文化の醸成が根付いている証拠だと思います。

—— 環境と安全への取り組みが、貴社の強みなのですね。

寺田 はい、それに加えて地域密着型の輸送を行っている点も当社の特徴です。

ドライバーが毎日家に帰れるよう、中近距離輸送を基本とし、地域の輸送をワンストップで提供しています。こうした体制により、地元の企業との密接な連携が可能になり、地域のニーズを直接聞く機会が多くなります。その結果、子ども食堂やフードバンク事業とも連携し、地域貢献にも積極的に取り組んでいます。

これまでぶつかってきた課題や変革秘話

—— これまで直面した課題や、それに対する変革についてお聞かせください。

寺田 まず、ドライバーの肉体的負担が大きな課題でした。60歳を超えても安心して働ける環境をつくるには、体に負担の少ない業務を確立する必要がありました。

そこで、採算を度外視してでも新しい仕事を積極的に受注し、業務の多様化を進めました。その結果、若手や女性、主婦層が参入しやすい環境が整い、ドライバーの育成やキャリアアップの仕組みが構築されました。こうした取り組みの成果として、当社のドライバーの平均年齢は業界水準より約10歳若くなっています。

—— 他に、経営上の大きな課題はありましたか?

寺田 大きな課題の一つは、世代交代時の過剰投資でした。

先代は事業拡大のために積極的に投資を行い、それが成長の原動力となりました。しかし、その一方で、売上を超える債務を抱え、資金繰りやキャッシュフローの改善が急務となりました。また、運送業界全体のコンプライアンスの厳格化に伴い、労働環境の整備や企業の透明性向上も求められるようになり、大きな転換期を迎えました。

—— これらの課題をどのように克服されたのでしょうか?

寺田 経営の立て直しには、まず財務の健全化が不可欠でした。そこで、京セラ創業者・稲盛和夫さんの経営哲学を学び、経営計画を徹底的に見直しました。

リーマンショックの際には、資金繰りが厳しく大変な時期もありました。しかし、そこで培った財務管理や事業の効率化のノウハウが活き、コロナ禍ではむしろ成長を続けることができました。

今後の事業展開や投資領域

—— 今後の事業展開や投資領域についてお聞かせください。

寺田 これまで、社内のガバナンス強化や業務プロセスの改善に注力してきました。今後は、人口減少などの社会変化を見据え、単なる規模拡大ではなく、持続的な成長を実現する「100年企業」を目指します。

当社の経営理念は、全従業員の物心両面の幸福を追求することです。その理念のもと、国の政策とも連携しながら、現在の年商23億~25億円規模を、将来的には100億円規模へと成長させることを目標としています。今年の新年にこの方針を正式に掲げ、具体的な施策を順次展開していく予定です。

メディアユーザーへ一言

ーー 最後に、メディアユーザーの皆さんへメッセージをお願いいたします。

寺田 これからの時代、経営環境の変化はますます激しくなり、企業の舵取りは決して簡単ではありません。しかし、その中で重要なのは、異なる企業同士がパートナーシップを組み、共存共栄の関係を築くことだと考えています。

もし当社と相乗効果のある協業の可能性を感じていただけた際には、ぜひご縁をいただければと思います。これからも、より良い未来に向けて挑戦を続けてまいります。

氏名
寺田 忍(てらだ しのぶ)
社名
三重執鬼株式会社
役職
代表取締役社長

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