続くルーブル安の影響は?

それでは、このままルーブル安の状態が続くとどうなるかというと、物価が上昇していき、ロシア国内の消費は低迷していくことになる。実質賃金は物価上昇に追いつかず、どんどん国民の購買力を奪っていく。さらに、高金利のためお金を借りることができず、設備投資ができなくなり、また、多額のドル建て債務をかかえる企業は破綻することなる。そうなると失業者が増え、犯罪率も上がり、プーチン大統領への批判が強まっていくだろう。

このような危機的状況にあるにもかかわらず、プーチン大統領は相変わらず強気の姿勢を崩していない。その背景には、例え厳しい経済状態になったとしても、それは外的要因によるもので、プーチン大統領の責任ではなく、このような時こそ強いリーダーシップを発揮し続けた方が支持を得やすいという考えがあるのだろう。

一方、中国は、原油安の状況でさらに国力を増していく可能性がある。経済発展により原油の使用量が急増している中国にとっては、原油安はさらなる経済発展にプラスになるからだ。また、財政破綻の危機にあるロシアは、いずれ中国に助けを求めてくる可能性が高い。そうなれば、中国にとって有利な条件で原油や天然ガスの取引ができるようになる。


原油安で中国の軍事力が高まる?

さらに、注意しなければならないのが、中国軍事力の増強である。ロシアの経済が苦しくなれば、背に腹はかえられないので、ロシアの最先端の軍事技術も中国に譲渡される可能性があるからだ。中国が最先端の軍事力を持つことになると、国際的な緊張はさらに増すことになる。

また、中国だけでなく、ロシアの軍事行動にも目が離せない。プーチン大統領は、12月19日、アメリカやNATO(北大西洋条約機構)に対抗するため核戦力を強化するとしている。欧米諸国に対する牽制の意味もあると思われるが、このままルーブル安が続き経済が破綻しそうになれば、ウクライナの侵攻のように暴挙に出る可能性も否定できない。つまり、原油関連施設に対して攻撃を仕掛けてくる可能性がある。

そんなことをすれば、当然国際社会は黙っていないが、軍事大国で核保有国であるロシアと本気で戦争をするかというと、さすがのアメリカでさえ躊躇するはずである。ウクライナの侵攻でもわかるように、せいぜい経済制裁ということになるだろう。ロシアもそう考えるならば、決して、軍事行動も非現実的な話ではないかもしれない。

(ZUU online)

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