日銀が政策ターゲットを変える時のマーケットの反応が気がかり

幸か不幸か原油価格の大幅下落のおかげでCPIは2%にまったく到達しないどころかこの3月あたりにはマイナスに転落する可能性さえ出てきている。日銀が期限もしくはインフレターゲットのいずれかの修正を迫られることも現実的には考えるべき時期にさしかかっている。もちろん日銀がこうした目標設定の期間や数値を修正したとしてもスイス中銀の今回の決断のようなクリティカルな状況に即時に追い込まれることはない。

しかし金融抑圧政策をいくらとってもデフレが解消しないとなれば、国債の買い付けやETFの購入を無制限に行うことはできなくなる。国の規模こそ異なるものの、スイス中銀を見ていれば天井なしの中央銀行の無制限政策というのがいかに虚偽のものであるかを示している。特に日銀の場合、政策変更からさらなるQEを打ち出さなくなったときや国債買い入れを一旦中止などと言い出した途端の市場の反応が非常に危惧される。


グローバルなゼロサムゲームのなかで中銀が自国だけ守る政策を貫くのは事実上困難

気がつけば米国を除けば、先進主要国の中央銀行は挙って自国通貨安を標榜する通貨安戦争に突入している。しかし為替というゼロサムゲームの中にあってはすべての国の通貨が望みどおり安くなることなどありえない。また財務長官が強いドルを公然と標榜する米国でさえも輸出系企業はドル高で利益が減少しはじめており、青天井でドル高を容認はできなくなっている。

さらに欧州全域がデフレに直面しつつあり、日本も原油安でデフレに逆戻りしかかっているときに、グローバル経済に深くかかわる米国経済だけがひとりインフレを維持できると考えるもかなり不自然であり自ずと欧州の影響を受けることになるものと思われる。こうした状況下では自国だけは守り抜くという中央銀行の政策履行もかなり難しくなっていることは否定できない。実現不可能な目標を掲げて強面に対応し結果目標を取り下げることの危うさというものを中央銀行はより熟慮すべきタイミングに差し掛かっている。

(ZUU online)

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