国内での再編も必至の状況

国内では昨年10月に新日本石油と新日鉱ホールディングスが経営統合しJXホールディングス <5020> がスタートしたばかりだが、昨年末にもっともM&Aと縁遠い存在と見られていた昭和シェル石油 <5002> に出光興産 <5019> が買収交渉をしていることが判明し業界を驚かせている。買収はTOBの形態をとり2015年度前半を目処に実施の予定で買収規模はおよそ5000億円とみられている。

経済産業省も2014年1月に施行された産業競争力強化法を石油業界としてははじめて出光に適用することを決定し、供給過剰状態を解消するため官が主導となる石油業界の再編に取組み始めている。こうした動きの中でさらなる再編の対象となるのは東燃ゼネラル <5012> とコスモ石油 <5007> であり、大手5社がさらにどのように再編されていくことになるのかが注目される。


資源ビジネスに関する商社の横並び時代は終焉

一方総合商社は各社原油価格下落の影響を受けているが、純利益ベースで資源ビジネスの比率を見ると三井物産が85%と極めて高く、三菱商事が47%、住友商事は1000億の赤字であるため測定不能だが、丸紅は6%、伊藤忠 <8001> が15%と言った具合で各社力の入れ具合がそれぞれに異なるものとなっている。

それでも丸紅のように大きな損失を招いているところもあり、資源が弱い商社ほどシェールガスで巻き返しをしようとして多額の損失を計上する羽目になっていることも見え隠れする。今後、今回の教訓から資源ビジネスとの距離感を変えてくる商社も考えられ、各社戦略転換がどのような形になるかに関心の集まるところだ。


コモディティ全般に価格下落が続く相場

原油以外でも最近では金や銅など、投機的に価格が上昇していた商品が大きく下落するようになりコモディティ全般がリアルな需給で価格形成されるようになったことから、市場が大きく変化しつつある。一説には米国のボルカールールが本格的に市場に浸透し、銀行などの自己売買部門やヘッジファンドからの資金が商品市場から撤退しているという話も出てきている。

原油自体も明らかに需給が価格を形成するようになっており、OPEC主導のカルテルでは価格の維持ができなくなってきている。こうした市場の変化も石油各社や商社のビジネスに少なからず影響を与えてきていることがわかる。

(ZUU online)

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