警戒していた5月を11連騰で乗り切ったことで、市場には安心感が広がっているようだ。もともと「Sell in May」は米国の相場の格言であるから、日本に当てはまらなくても特段不思議なことではない。




ただ気を付けなければならないのは、この英語の相場格言の意味を短絡的に捉えられがちだということだ。この相場の格言は、正確には「Sell in May, and go away; don't come back until St Leger day. 」と、「Sell in May」のあとに続きがある。

英文を読んでもらえば分かるように、この格言は「5月に相場が下がる」といっているのではなく、「5月に売ってLeger day(9月第2土曜日)まで戻って来るな」といっているのだ。

「安い時に買って、高い時に売る」というのが投資の理想に沿えば、「相場が高い5月に売って、9月に買え」ということ。要するに6月から9月までは軟調な展開になりやすいということだ。

この格言が日本に当てはまるかどうか。1984年以降の月別上昇回数で確認してみよう。各月31回から32回あるが、月別の上昇回数を見てみると、7~9月の3ヶ月間は明らかに上昇回数が少ない傾向にあることが分かる。

「Sell in May」という英語は「5月に売れ」という意味であるが、相場の格言としての意味は「5月は下がる」ということではなく、「6月以降9月までは調整期に入りやすい」という意味である。そしてこの英語の格言は、日本にも当てはまっていることは再確認しておいた方がよさそうだ。

近藤駿介
(評論家、コラムニスト、アナザーステージ代表)
約20年以上に渡り、野村アセットを始め資産運用会社、銀行で株式、債券、デリバティブ、ベンチャー投資等様々な運用を経験。その他、日本初の上場投資信託(ETF)である「日経300上場投信」の設定・運用責任者を務める。現在は、 「近藤駿介流 金融護身術、資産運用道場」 「近藤駿介 In My Opinion」 、「元ファンドマネージャー近藤駿介の実践資産運用サロン」 などを通じて、読者へと金融リテラシーの向上のための情報発信をおこなう。

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