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現代アートが高額で落札されたというニュースをよく耳にすると思います。多くの人は現代アートを難解だと感じており、何故そこまでの値段が付くのかと疑問を持っている人も多いでしょう。

本稿では、そもそも現代アートとは何かという所から始め、高騰する現代アート市場の様子を簡単に紹介します。その上で、現代アートの価値が値段と近似性を持つ点について触れ、いわゆる富裕層は金銭的な投資で芸術の歴史を作ろうとしていることを示します。


◉現代アートとは


現代アート若しくは現代芸術について確固たる定義があるわけではないですが、20世紀初頭のフォービスムやキュビズム或いは前半のシュールレアリスムを近代アートと現代アートの境界とする見解が多いです。

フォービスムやキュビズムについて解説する事はしませんが、近代アートと現代アートを区別する概念で共通するのは、「写実芸術の危機」です。19世紀終わり頃からカメラが世間に広まっていき、写実的な絵画等の存在意義が芸術界において大きな論争になりました。

キュビズムやシュールレアリスムを見ても分かると思いますが、その表現は視覚的写実から離れていたり、表現主体が抽象的なものであったりして、それまでの主流芸術とは様相が大きく異なります。一般的に現代アートが抽象的であるが故、「難解」だと思われていますが、抽象的なものが多いのは、こうした歴史的経緯があります。


◉高騰する現代アート市場


現代アートの価値がなぜ決まるかはさて置き、現に一部の現代アートがオークションで高値が付く事例は多くあります。村上隆の『マイ・ロンサム・カウボーイ』が1500万ドルで落札された事は記憶に新しいですが、マーク・ロスコの『オレンジ・レッド・イエロー』8700万ドルなど、より高額な事例も多くあり、美術品の競売市場が高騰している傾向があります。

最近は中国での美術市場が極めて活況で、曾梵志の油彩画『最後の晩餐』が2330万ドルで落札され、アジア最高額になるといった事もありました。中国でのバブルを指摘する声も多くありますが、なんにせよ投資が活発である事には変わりがありません。


◉芸術の値段=芸術の価値?


芸術品が投資対象になっているのは、現代アート市場を高騰させている大きな要因になっているのは事実ですが、高い評価を得た芸術品が芸術史にも残っていく傾向がある事を見ると、芸術の値段=芸術の価値とは言えませんが、芸術の値段が芸術の価値と近似性を持つという事は確かです。

確かに、高い値段が付いたからと言って歴史に残るとは限りません。いわゆるポピュラーカルチャーを芸術史に位置付ける研究活動も盛んですが、売れたポピュラーカルチャー全てが芸術の歴史に残るわけではないからです。その意味で厳密に言えば、高値が付く事は、「高い芸術的価値」が認められる為の必要条件と考える事が出来るかもしれません。

勿論、値段自体を付ける事が無い芸術品(多くの歴史的建造物など)もありますし、その「高値」が作者の死後に付く事もありますが、芸術の価値と価格に関係がある事を否定する材料にはなりません。