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コツは「楽しみながら待つ」
資ヨーロッパのアンティーク家具や日本の骨とう品などの収集を趣味にしている人は多い。こうした古い物を集める楽しみの中には、掘り出し物を探し当てるという楽しみもある。小さな古物商で見つけた古い家具や骨とう品が、実は貴重な品で、買った値段の何十倍、何百倍もの値がつくという夢を抱く人もいるだろう。
売ったときに、買ったときの何倍もの値が着く可能性があるという意味では、アンティークも立派な投資対象である。しかし、どんな人たが、どのような形で取引をしているのか、知っている人はあまりいないのではないだろうか。
そこで、アンティーク市場とはどんな世界なのか、その一部をお見せしよう。
アンティーク投資で注意すべき5つのポイント
まず、これからアンティーク市場に参入しようと思う人が、注意すべき点を挙げよう。主に以下の5つが考えられる。
(1) 市場規模
実物資産の中でも、アンティーク市場は不動産などと比べると、比較にならないくらい小さい。それはつまり、需要も供給も少ないということを意味している。実際のところ、限られた人だけで構成されている業界に新規で参入して、利益をあげることは難しいのが現状である。
(2) 選別眼
アンティーク品を投資対象に選んだ場合、購入するものが本物なのかどうかを、見極める能力が必須となる。もともと本当の価値をわかる者が少なく、贋作も多い中で、鑑定を依頼する者の目利きがどの程度なのか、何を根拠にどの鑑定士を信用すればいいのか、などの判断が難しい。アンティークへの投資は、お金だけなく知識も必要とされる。
(3) 手数料
アンティーク品には、総じて取引手数料(スプレッド)が高いというデメリットがある。取引手数料以外にも、鑑定料、保管料、換金手数料、貸金庫代など、さまざまな費用がかかるので、そうした経費を上回る投資効果があるのかどうかを、考えなければならない。
(4) 価格
どのような商品にも共通していえることだが、需要が供給より大きくなったときにのみ、プレミアがつく。対象が何であれ、価値が上がる前に購入し、価値が上がった段階で売るというのが鉄則となる。他人が気づく前に、先にその商品の価値を見抜き、購入する決断力が問われる。
(5) 保存
購入した後も品質を保つためには、日々のメンテナンスが欠かせない。筆者は元時計メーカーにいたので、腕時計を例に挙げると、使わずに置いているだけでも劣化が進み、数年に1度「オーバーホール」といって、専門業者に何万円かを支払い、メンテナンスをしてもらう必要がある……といった具合である。
また、金やアンティークコインなどは、現物を自分で保管するよりも、鑑定後に封をされた状態で、貴金属会社の貸金庫などに預けることによって価値が出る。この場合、預けているものを持ち出す際にも、手数料をとられるので注意が必要だ。
このように、アンティーク投資には総じてお金と手間がかかり、決して「買って待つだけ」という代物ではないのである。