■IoT実現のために重要性増す「クラウド」技術

まずビジネスやサービスの「クラウド化」で、注目されるのはIoT分野だ。「モノのインターネット」とも呼ばれ、さまざまなモノにセンサーを組み込んで、データを収集したり、そのデータを分析して事業の改善につなげる方法として期待されている。

IoTの具体例については、例えば、飲料の自動販売機にセンサーを組み込み、品薄かどうかなどのデータを集めたり、電気の使用量をモニタリングするセンサーをインフラに組み込み、そこから収集されるデータでより効率的な運用を図る取り組みなどが想定されている。

現在、こうしたクラウドコンピューティングを活用してIoTを実現しようとする、各社からの取り組みも明らかになってきており、IoTの実現がいよいよ現実化に踏み出す環境が整いつつあるのだ。

具体例としては、東芝 <6502> とマイクロソフトが、前社のセンサー技術と後社のクラウドコンピューティングの相乗効果で、新たなソリューションを開発するための協業をこのほど開始。東芝からはIoT機器向けのアプリケーションプロセッサ「ApP Lite」やドライビングレコーダーなどの、センサーをはじめとしたIoTデバイスの技術が提供される一方で、マイクロソフトのパブリッククラウドであるアジュールで、データの処理や分析を担う形で、ソリューションの共同開発を進める。

東芝は「まずは、物流市場向けに、センシングデバイスで測定したデータを『Azure』で収集・分析するIoTソリューションの提供を今年中に開始する」予定だとコメントしている。

ほかにも、国内IT大手のNTTデータ <9613> が、監視サービスなどを提供している水道事業大手であるメタウォーター <9551> と共同で、上下水道事業向けIoTサービスの提供で協業を開始。流量・水圧・残塩濃度などの水道監視システムや、使用量を自動的に計ったりその可視化の実現を図ったりする水道スマートメーターとクラウドをつなぐことで、より高性能な監視サービスの展開を可能にすると、NTTデータはコメントしている。

いずれの例についても、インフラ分野でのIoTの実現にもクラウドコンピューティングが生かされようとしている動きだと言えそうだ。