(写真=HPより)
6月8日、神奈川県川崎市に拠点をおく三輪電気自動車のベンチャー企業「日本エレクトライク」に対し、自動車量産のための型式認定を行ったと国土交通省が発表した。この認定取得によって、同社は国から正式に自動車メーカーとしてのお墨付きが与えられ、日本では実に16番目の自動車メーカーとなる。1996年に型式認定を受けた光岡自動車以来19年ぶりの取得となり、成熟化した自動車産業の中で、21世紀初の国内メーカー誕生となったわけだ。
ベース車両はインドの三輪自動車
この日本エレクトライクが製造販売するEV/三輪電気自動車は、ベースとなる三輪自動車をインドから調達するというユニークなプロダクトである。そもそも電気自動車は、製造のための構成部品が極端に少ないのが特徴だ。
ガソリン車の部品点数が全部で10万点ほどあり、その内でエンジンを構成する部品が1~3万点にもなるのに比べ、電気自動車に搭載するモーターの部品は30~40点ほど。インバーターの部品を加えても、わずか100点ほどにしかならない。米国のテスラがロータスの車のボディを利用してEVのスポーツカーを生産しているのは有名な話だが、このようにボディをどこからでも調達できる自在性がある。コストパフォーマンスを考えれば、インド製の三輪自動車のボディを利用するのは十分にありえる話なのだ。
生産は国内でスタート
この車の生産は、インドの二輪大手メーカー「バジャジ・オート」から車体を輸入し、電動自動車に改造する手法からスタートする。13年4月にはすでに受注を開始しており、15年2月からは富山工場も稼働し始めた。現在は年間100台を生産目標とするが、簡易な組み立てから、この拡張性の高まりが期待される。
クルマがガソリン車から電気自動車へ移り変わると、産業構造は一変する。電気自動車はガソリン車と比べると構造が単純で、新規参入の障壁が比較的低いため、多くの新興メーカーが登場すると言われている。日本エレクトライクはまさにその先駆けとして国内自動車市場に参入しようとしているのだ。
エレクトライクの仕様
エレクトライクは一人乗りで、幅1.3メートル、長さ2.5メートルと二輪車よりも少し大きい程度の荷物搬送用三輪車である。ドアは装備されておらず、シートベルトも不要。ヘルメット着用の義務もないが、れっきとしたクルマとして運転が可能となる。高性能な小型バッテリーを搭載し、1度充電すれば最高速度50キロで約60キロの距離を走れるという利便性を持つ。ギアもないため、原付自転車の運転経験があるドライバーなら、なんの抵抗もなくすぐに乗りこなせるという。
大手メーカーも最初はスモールカーから
いまどき三輪自動車の製造販売かと思われる方も多いだろう。だが1950年代、戦後のドイツでは、かのBMWでさえも安定的な経営基盤を得るため、イタリアのイセッタ製のフロントに扉をもつ三輪車を委託生産して何とか食いつなぐ時期を過ごしている。また国内では、今やラグジュアリーモデルの対米輸出で国内屈指の存在となり、すっかり大手企業となった富士重工も、スバル360の生産から自動車産業に参入した歴史を持つ。
型式認定を得た正式なプロダクトメーカーとしての第一歩を踏み出した日本エレクトライクだが、 三輪自動車からさらに加速した成長を思い描くことは、決して無理のあることではない。また、世界の中でも一段と成長を加速させている東南アジアへの販路拡大についても期待されている。今後の日本エレクトライクの動向に注目だ。(ZUU online編集部)
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