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昨今、株主優待はブームとなっており、株主優待を目当てに投資を始める人もたくさんいる。

とはいえ、いくら優待のサービスがよくても、所有株の値上がりも必要だろう。優待も値上がり益もセットで見込める銘柄はないだろうか。そもそも優待の制度はどのような仕組みになっているのだろうか。

そんなとき、個人投資家の羅針盤になるのが、"相場の福の神"ことSBI証券・投資調査部シニアマーケットアナリストを務める藤本誠之(ふじもと・のぶゆき)氏の新刊『 上がる優待株を買いなさい (相場の福の神が教える利益を出す優待投資) 』自由国民社 (2015年6月17日発売)だ。

優待がメインとなる本はたくさん出版されているが、利益を出す優待投資というテーマは珍しい。


株式投資の目的はあくまで値上がり益

まさに世は「優待銘柄ブーム」だが、一方で優待ばかりを重視すると危険で、値上がり益をしっかり取れる優待銘柄で儲けましょう、ということなのだろうか。ご本人に聞いてみた。

「優待株の中には、特に外食・小売・食品などで、割引率や利回りの高い優待銘柄がいろいろあります。その優待ほしさに買いが集まり、業績の悪化や成長性が乏しいのに、株価が高値のままでかなり割高な銘柄も多く見られます。言ってみれば「優待バブル状態」です。優待ほしさにそのような銘柄をつかむと、いずれ大きく損をすることになりかねません。

具体的には、中国期限切れ鶏肉問題や異物混入事件で既存顧客が離れ赤字に転落してしまったカサノバ社長の日本マクドナルドホールディングスの現在の株価は、前社長の原田氏が社長で、100円マックで業績絶好調だった時期よりも高いのです。明らかに優待バブルで高値となっている状態といえます

また、500株保有で年間4万円相当の株主優待券で大人気の居酒屋「北海道」などを運営する外食大手のコロワイドのPERは200倍を超えており、200年以上の利益を織り込んだ超割高な水準となっています。この2銘柄は、雑誌などの株主優待特集では人気の優待銘柄として、取り上げられることが多いのです。

そういった銘柄を選ばなくても、1200余の優待銘柄の中には、中長期で上昇が期待できる有望株がゴロゴロとあります。株式投資の目的はあくまで値上がり益です。優待は「良いおまけ」程度で、儲けたあとで付いてくるものと考えるべきです。

自分にとって本当に欲しい優待かを考えることが大事です。ただやみくもにお得だからと、利回りの高い優待をゲットすることに夢中な人が多くいます。しかし、実際にはもらった優待をそのまま無駄にしているケースも多いでしょう。本当に優待だけほしいのなら、金券ショップなどで買うこともできます。目的とコストを考えて判断すべきです。」


優待制度の仕組みと企業の思惑から考えてみる

どういう基準で選んで良いかが分からない、という方もいると思うが、どうしたら良いのだろうか。

「そういった場合は、優待制度の仕組みと企業の思惑から考えるとわかりやすいと思います。企業が優待制度を始める主な理由は、宣伝広告のためと株主を増やし(株価を上げ)たいからです。例えば一部昇格など、その目的を達成してしまえば、急に優待制度を廃止することもあります。そうなると優待狙いが途絶え、株価が急落しやすくなります。また、優待銘柄の中には、権利日を挟んで「優待狙い」の買いの動向が株価にはっきりと現れる銘柄もあります。これら2つのことを知っておけば、当然勝ちやすくなります。

例えば、ジャムで有名なアヲハタは毎年「ジャム暴落」を起こすことで有名です。11月権利確定で、株主優待でジャムなどの自社製品が貰えるのですが、その権利確定後に大きく株価を下げることが多いのです。貰った優待品の価値以上に株価が下落することが多いのです。下落前に売って、下落後に買い戻してその差額でアヲハタのジャムを買ったほうがお得になるのです。このような銘柄は、実は数多くあるのです。

株式投資の鉄則として、「買った理由が無くなった時が売り場」です。株主優待人気で買われた銘柄は、権利確定日を過ぎると「買う理由」が無くなるので、売りになることが多いのです。

本書『 上がる優待株を買いなさい (相場の福の神が教える利益を出す優待投資) 』では、より詳しく解説していますので、ぜひお読み頂ければと思います。」

人気アナリストの好著だけに、早めの「買い」が必要だ。(ZUU online 編集部)

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