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(写真=PIXTA)


経済再生優先の姿勢、財政再建に向けて歳出の総額は明記されず、目安のみ

6月30日、骨太の方針2015が閣議決定された。骨太の方針とは、経済財政に関する基本方針の通称であり、翌年度以降の予算編成に大きな影響を与える。今回の注目は、「2020年度基礎的財政収支(以下、PB)黒字化」を目標とする安倍政権がどのような形で財政再建を行うか、その方向性と具体策だった。

国・地方の基礎的財政収支

2月に示された中長期の経済財政に関する試算では、左上図のようになっている。アベノミクスがうまくいき成長率が加速(名目3%、実質2%)する高成長シナリオ(経済再生ケース)であっても2020年度のPBは9.4兆円の赤字との試算である。

今回の骨太では、この9.4兆円を改善するに当たり、「経済再生なくして財政健全化なし」と経済再生を優先するとの基本方針が示されている。経済再生ケース(2015年から2020年で約14兆円税収増)よりもさらに税収を伸ばし赤字を埋めるとの戦略だ。

歳出改革は、自民党特命委員会などが求めていた「歳出総額の上限」は明記されなかった。国の一般歳出のうち政策に充てる経費での増加分を、今後3年間で1.6兆億円程度とするという「目安」が示されるのみとなった。

また、今後5年間の「経済・財政再生計画」に、中間年度となる2018年度の時点で、基礎的財政収支の赤字を対GDP比で、現在の▲3.3%程度から▲1%程度に縮小する中間目標も盛り込んだ。