週初29日の東京市場は、ギリシャ債務問題の緊張の高まりから、リスク回避の展開となり、ドル円相場は、122円台前半でスタートした。

黒田日銀総裁の「2%の物価安定の目標の実現へ向け断固たる姿勢を保つ」との発言から、123円21銭まで戻す局面もあったものの、上海株の下落をきっかけに、再び122円台前半まで下落した。海外市場でも、リスクオフの展開が続き、一時的な上昇はあるものの、122円半ばを中心に推移した。

30日は、引き続きギリシャ債務問題がくすぶり続ける中、122円台で方向感の乏しい展開となった。海外市場でも、122円台を中心に上値の重い展開が続いた。メルケル独首相が「5日の国民投票の前にギリシャの新提案を交渉することはない」と述べたことなどから、121円台まで下落する場面もあった。

1日は、日銀短観の内容が良かったことで、日本株が上昇した流れから、円安トレンドとなり、122円台後半まで上昇した。海外市場では、米6月ADP雇用統計やISM製造業景況指数の好結果から、一時、123円25銭まで上昇した。

2日は、123円台前半での小動きとなったものの、海外市場に入ると、前日のADP雇用統計の結果から、期待感もあり、一時、123円76銭まで上昇した。しかし、本番の雇用統計では、雇用者数の下方修正や平均時給が上がっていないなど、弱い結果となったことで、122円台まで下落した。

3日は、前日海外市場の流れを引き継ぎ、122円台後半まで下落したものの、日本株の上昇につれ、123円台まで値を戻した。海外市場では、週末にギリシャの国民投票を控えているということもあり、リスク回避的な動きとなり、122円台後半で推移した。


今週の為替展望

今週注目される経済指標は、6日発表の5月景気動向指数、米6月ISM非製造業景況指数、7日の米5月貿易収支、8日の6月景気ウォッチャー調査、FOMC議事録(6月16・17開催分)、9日の5月機械受注などである。また、5日にはギリシャの国民投票が控えているため、月曜早朝に大きくマド開けしてスタートする可能性もあることから、注意したい。

今週の外国為替市場は、引き続き、ギリシャ債務問題が市場の関心の中心にあるといえる。ギリシャはIMFより受けている融資を、返済期限の6月30日に返済せず、デフォルト状態に陥り、預金の引き出し制限が実施されている状態にある。よって、5日に予定されているギリシャの国民投票で、更なる混乱回避のために、財政緊縮策へ賛成する国民が多いと考えられる。

しかしながら、黒田ラインである125円が意識されるだけでなく、雇用統計の悪化から、米利上げ時期が12月に後ずれするとの見方が中心となりつつあることから、上値の重い展開は続くと見る。

また、テクニカル面は、週足ベースのボリンジャーバンド(期間20週)のドル円のローソク足は、1σを下回る水準で、週足14週のRSIにおいては50%台後半と、過熱感はない。

以上を考慮すれば、ギリシャ債務問題の進展があれば強気スタンスで良いものの、黒田ラインと弱い雇用統計から上値が重い展開が想定され、やや強気から中立程度が妥当と考える。(ZUU online 編集部)

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