後発医薬品の普及を促進するためには

後発医薬品の処方にインセンティブが与えられる診療報酬制度が既に導入されており、普及もようやくここまで広がったわけで、さらに普及させようとインセンティブを高くすれば、本来の目的である社会保障費抑制が達成できない。

ほかに考えられる方法としては、診療報酬を出来高方式から包括方式(DPC)に変更すること。しかしDPCを取り入れている病院は現在のところ全病院の20%未満。今後DPC病院を急速に増やせるかが目標達成のカギとなるだろう。

良い薬はほとんどが輸入頼み

2000年の小泉内閣における規制緩和政策以降、海外からの医薬品の輸入が急増している。

2005~2011年の7年間で日本が海外に輸出した医薬品は、毎年3,500億円程度で横ばいだが、海外からの輸入は約9,000億円から1兆7,000億円に大幅増加している。2011年の日本の輸入超過額は2.6兆円。そのうちの1.3兆円近くが医薬品で占められていることになる。

日本が医薬品を輸入に頼らざるを得ないのは、日本の研究開発力が低く、抗癌剤をはじめとする効果の高い医薬品を作ることができないからだ。外資系製薬企業のある研究者が「日本製の薬が地球上からすべて消え去ったとしても、人類に何のインパクトも与えない」と乱暴な発言したが、残念ながら反論できない。

加えて、円安の影響で輸入医薬品価格が高騰しており、決められた薬価の中で原価が占める割合が高くなり、その結果、利益率が下がっている。そのあおりを受けて、昨年後半から、日本の名だたる製薬企業や外資系製薬企業の日本法人で「創業以来初めて」「合併以来初めて」の人員整理を行っている企業が増えている。

戦々恐々の製薬企業

ただでさえ利益率が低下している国内の製薬企業に、政府の要求は重くのしかかる。

かつてビッグファーマと言われた巨大製薬企業は、ジェネリックの台頭について「まだまだ克服されていない疾患は多く、新薬を開発し続けることで、ジェネリックに対抗するのだ」と強気の戦略を取っていたが、世界を見わたしても以前のような画期的な新薬は出ていない。パイプライン(開発中の医薬品候補)を見ても、将来は楽観できない状況だ。

バイオ医薬品やiPS細胞を応用した新薬開発に期待がかかるが、製薬は元手がかかる産業。利益獲得の構造ができない限り、新薬の研究開発に踏み出すことができない。さらに後発医薬品の製造まで求められることになれば、日本の製薬企業はますます海外に遅れをとることになる。製薬企業の多くは戦々恐々としているが、今後さらに厳しい正念場を迎えることになるだろう。(ZUU online 編集部)

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