――日本とアメリカとで、スポーツマーケティングにおいての違いはどのあたりにありますか?

中村 日本とアメリカとで違う部分として挙げられるのは、アメリカでは広告露出よりも“先"を求められることでしょうか。看板を出してテレビに映ったとしても、実際にそれがどれだけ購買につながっているかはわかりませんよね。実際にスポンサーシップをする際に何を目的とするか、ということが大事です。日本でわかりやすい例を出しますと、以前アンダーセンコンサルティングさんが『アクセンチュア』と会社名を変えるということがありました。2001年1月3日、日韓選抜対世界選抜の試合で『アクセンチュア・ドリームサッカー』という大会があったことを覚えておられますか?

――ありましたね! 私(編集長・澤山)は当時学生でした

中村 そう、その大会です。あの大会を見た人は、アクセンチュアという会社名については事前には知らなかったと思います。ただ、そこで名前は覚えたはず。アクセンチュアさんにしてみると「私たちの会社名が変わりました」という認知度向上が目的で、何かを買ってもらうことが目的ではなかったと思います。あるいは、2010年W杯・2014年W杯では中国のYINGLI SOLARさんが看板を大きく出していました。こちらも、認知度向上が主目的だったと言われています。

逆に、例えば新規加入を増やさければいけないようなケースでは、看板を出すだけではダメではないかと思います。看板を見ただけで「100人増えました」ということは、科学的に証明することは難しいですよね。そういう時は、看板ももちろん出しますが、そのスタジアムで何試合行なわれるか、例えば365日中サッカー以外にも150日イベントが行なわれるとしたら、1試合につき2万人入るとして2万×150日で計300万人来ますと。その人たち全員にサンプリング、アンケート、もしくはキャンペーンのタグ付けがされたクーポンなどを配ります、となると効果測定ができるんですね。よく試合で「この券を持って行けば、マクドナルドのポテトがつきます」というケースがあると思うのですが、そうすると、実際にマクドナルド側で何人がこの券を使ったか計算できるわけです。