インタビュー
(写真=ZUU online 編集部)


信用取引で広がる投資と挑戦の幅

投資家たちから一般に「レバレッジが効いていて、空売りの取引もできるがリスクが高い」「ルールが複雑で難しい」「現物株よりコストが高い」といったイメージをもたれているものは、何かおわかりだろうか。

「レバレッジ」や「空売り」というキーワードから、察しのいい読者はすでにお気づきかもしれない。これらはいずれも、「信用取引」を利用しない理由を投資家に尋ねた結果だ。リスクの高さや、株式の現物取引に比べて複雑なルールへの懸念が目立つものとなった。

この点を指摘するのが、マネックス証券でCOO補佐兼トレーダー・サービス部マネジャーを務める森山智光氏。信用取引については、「簡単に言うとリスクが大きい。不安が大きく、イメージとして信用取引ってなんかコワイ」と、ネガティブな見方や捉えられ方をしている現状を説明する。

実際、証券会社に預けた自身の現金や株式を担保に、約3倍の取引が可能となる信用取引。予想以上に大きな損を出したり、株価値下がりが続いて繰り返し追証の請求を受けたりするといった、ともすれば「危険な取引」というイメージを抱きがちだ。

しかしながら、森山氏は信用取引にリスクがあることを認めつつ、メリットが大きいことも指摘している。「かつて信用取引では、同じ証拠金を使って一日に何度も取引する回転売買ができなかったが、2013年の東証の規制緩和で、この回転売買が何度でもできるようになった。現物株は今でも同じ銘柄を同じ資金を使って一度しか回転売買はできないため、規制緩和により信用取引のほうが現物株と比較して非常に資金効率がよくなった」と、一日の中でチャンスがあれば何度でも売買益が狙えるポジティブな側面を強調した。

さらに、信用取引の漠然とした不安や高いリスクを低く抑えて始めやすさを重視したサービスが、マネックス証券から登場した。それが、今回取り上げる「スタート信用」だ。同サービスは、信用取引の初心者向けに、リスクを抑制する機能を備えた信用取引である。とはいうものの、ネガティブなイメージから不安を抱き、なかなか一歩を踏み出せない投資家も多い。「スタート信用」は、そうした不安を払しょくし、信用取引で投資の幅を広げて、より開かれた機会へ歩を進める手助けとなりえるのか。

今回は、マネックス証券でCOO補佐兼トレーダー・サービス部マネジャーを務める森山智光氏に、スタート信用の特徴についてインタビューする機会をいただいた。




投資家の不安を解消する3つの機能

森山マネジャーによれば、スタート信用を活用すれば、より容易に信用取引を開始できるという。信用取引のルールは、現物取引のような「安く買って、高く売る」シンプルなルールより多少複雑になる。そのうちで、リスクを大きくしている要素に制限をかけるのが、スタート信用の仕組みとなっている。大きな特徴としては以下の3点になる。

(1)空売りはナシでレバ買いまで

スタート信用の特徴の1つが、いわゆる「空売り」ができない仕様である。通常の信用取引で大きな選択肢となる「売り取引」、いわゆる「空売り」の取引は、そのルールを理解していないことで、よくわからない間に損失が急拡大してしまう。そうした事態に歯止めをかけるものだ。

他方、現物の株式取引に似た買建という仕組みもある。これは、レバレッジをかけた取引でより大きな利益を狙うことができるものだ。現物株ではできない空売りをいきなりはじめるよりも、まずは「安く買って高く売る」という現物株と同じ取引きについて、レバレッジをかけたもので慣れることにより、シンプルかつ大きな利益を見込める部分をメリットとして強調した仕組みと言えそうだ。

通常の信用取引への移行にも審査があるが、森山マネジャーは「※二階建て取引など、リスクの高い取引を過度におこなっていないかなどの確認を行うが、原則は柔軟に移行できる」と話す。

※二階建て取引:現物で保有している株式と同一の銘柄を信用取引で買建すること

(2)建玉上限は500万に設定

加えて、取引規模に制限を課したのも大きな特徴の1つ。スタート信用では、取引の規模を表す建玉の上限を500万円に設定。建玉が過大になることでリスクも大きくなるような場面を予め制限している。

「調べると、大半の投資家の建玉が500万円以下だったことから、スタート信用でも、500万円を上限に設定している。大きな金額を取引されたい方は最初から通常の信用取引に申込んでいるので、実際にスタート信用をご利用いただいているお客様にはこの金額で満足してもらっているのではないか」(森山マネジャー)

(3)みまもるサービスを標準で実装

3つ目の機能が「みまもるくん」だ。あり体に言えば、FXのサービスによくある「ロスカット」に似た仕組みになる。建玉から計算して、含み損が特定の水準を超えた際にメールでアラートをお知らせし、自動的にその取引を翌日の寄付きで手仕舞いさせる機能だ。


信用取引で幅広げ「賢い投資家」へ

各種機能を備えている「スタート信用」を活用するにあたって、森山マネジャーは「ユーザーには将来的に『賢い投資家」になってもらいたい」と話す。株式の現物取引だけではなく、「売り」から入れる信用取引で、投資の幅も広がる。同マネジャーは、ある個人投資家から耳にしたエピソードを披露してくれた。

同氏が聞いたところによれば、ある個人投資家が現物取引でなかなか勝てずにいたという。その際に、「自分の取引方針と逆の取引を空売りですれば儲かるのではないかと、信用取引を開始した」というのだ。結果的にはそこでも最初は負けてしまったものの、大きな学びがあったという。

「売りから入る時は、買う人とは理論が真逆になる。売りの取引をする人がどのように考えているか、自分でやってみて初めて分かったというのが、その投資家の感想だった。その後、同投資家は、買いと売りのどちらから入る場面でも反対側にいる投資家の心理を客観的に深く考えられるようになり、結果的に勝てるようになったと聞いている」(森山マネジャー)

同マネージャーは信用取引について、損切りルールを自身で決め、まずはそれをきちんと守れるリスクコントロールができるようになってもらいたいと前置き。その上で、儲け幅についても事前に想定し、勝ち負けを繰り返しながらも、トータルで勝つことが重要と指摘した。

「まずはスタート信用で現物取引の気持ちで取引を始めてもらい、信用取引のレバレッジをかけた取引でのリスクコントロールに慣れてもらいたい。そして、次のステップとして通常の信用取引で空売りもマスターし、投資のさまざまな側面を理解して『賢い投資家』になっていただきたい」と森山マネジャーは締めくくった。
(ZUU online 編集部)

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