歩合給か固定給か~職人の給与制度について

◆現状、リフォーム会社は職人を抱えず、外注するケースがほとんどです。成り手を増やす上では、収入が安定する社員化を進める手がありますが、固定費がかかるリスクもありますし、実際それが職人にとっていいのかという問題もある。そうした中、職人の給与制度をどのようにするのが良いと考えますか。

仲本 : 私の本業は外装屋で、サイディング工事、あと屋根工事等を行っているのですが、今働いてもらっている職人さんは、やはり腕があるから稼げる、自分が頑張った分稼げるんだと考えています。つまり請負制度の魅力を喪失しちゃいけないのかなと。会社の経営者としても、頑張った分で支払える職人はすごく魅力なので、そういった歩合関係の中で、キャリアプランを組んでいくことが重要と思っています。

小山 : 今、どんどん技術が必要なくなってきている中で、どう差別化していくのかというと、やはり人間力。あなたに仕事をお願いしたい、そういうような職人になっていく必要があります。僕の所は給与制度ですが、そこに技術、歩合制のほか、人としてリーダーとして素質、またお客さんと接する対応なども見て給与を決めていくようにしています。

宮嶋 : ウチは、完全に職人さんは固定給です。固定給にする以前は日給月給という中で、若い子も8000円とか1万円とかもらえる。20歳ぐらいでも20何万という魅力があり、若い子が入ってきたというのがこの業界の現状だと思います。ただ、色々調査したところ、貰う方のご主人側と奥様側で非常に考え方が違っています。月々の費用に対する支出であったり貯蓄であったりという所を見ると、どうしても固定給が良いという方がウチでは非常に多かった。

その中で安定して職人さんが働ける環境を会社サイドでつくらないといけない。営業部隊、工事部隊で、ほぼ同じような制度にしています。年間の技術面の評価、そして会社の理念、ルールを含んだ、トータル360度の評価で全て採点をして、給与基準に当てています。等級制度で上がっていく形です。

◆ただ長期で見た時に給料が上がると考えると、固定費が増えるリスクをどう考えていますか。

宮嶋 : 僕が入った当時は日当9000円でした。20歳とか21歳ぐらいの9000円、月にすると24、25万はすごく高い。そして次に1万円になったりする。元々塗装業界は、そもそもの金額設定が高いというところがあると思います。

ウチでは大学を卒業してもまず19万円からスタートする中で、1万円増えるとか2万円増える仕組みではなくて、3000円、5000円と増え、長期的な図式が見え、将来の目標や夢が描けるような給与体系づくりをしています。加えて、ある一定のラインを超えたら管理職になるか、職人の経営者になるという道も用意しているので、それほどリスクを感じていないですね。