イノベーションリーダーズサミット

(写真=ZUU online編集部)

大企業の資産とベンチャーのアイデアやテクノロジーをマッチングしてイノベーションを生み出すことを目的に、プレゼンテーションやディスカッション、各種サービス展示が行われる「第3回TOKYOイノベーションリーダーズサミット」が26日、東京・虎ノ門ヒルズで始まり、注目の分野であるFinTech(フィンテック)についてもセッションが設けられ、議論が交わされた。27日も行われる。

午前に行われた「FinTech企業の挑戦~勝ち抜くための戦略~」と題されたセッションでは、FinTech業界で活躍するベンチャーや大手金融機関の担当者が登壇。現状や課題などについて問題意識を披露しあった。(取材:濱田 優 ZUU online編集部)

FinTechとは「ネットの思想から作られる、個をエンパワーメントするサービス」

セッションに登壇したのは、マネックスベンチャーズ取締役の高岡美緒氏、お金のデザインCOOの北澤直氏、マネーフォワードFinTech研究所長の瀧俊雄氏、コイニー社長の佐俣奈緒子氏、三菱東京UFJ銀行産業デザインオフィス次長の上原高志氏。モデレーターをEYトランザクション・アドバイザリー・サービスの岩本昌悟氏が務めた。

「FinTechとは」という命題に対してコイニーの佐俣氏は、「インターネットの思想から作られるサービスで、個をエンパワーメントするもの」と定義。コイニーがこれまで無料で配布してきた、スマホに挿して使えるリーダーなどの無料配布が11月からはできなくなることに触れ、「より安心なサービスを提供するという意味で重要なことだが、端末の価格が上がることも予想され、裾野までサービスが広げられるか不安」と述べた。

FinTech研究所の瀧氏は、「業界の中でも規制領域にからむ分野のプレイヤーが少ない」という問題意識を表明。1990年代ごろに金融業界で起こったイノベーションと今起きているそれとの違いについて、「個人(法人)の意思決定をいかにサポートするかという点」と説明した。

お金のデザインの北澤氏が「利便性を求めるだけでは革新的なものは生まれないし、コモディティ化されてしまう」と述べると、瀧氏も金融産業は「情報」と「金融インフラ」のレイヤーに分けられるが、下の部分に当たる「金融インフラ」はコモディティ化すると述べた。佐俣氏もこれらに同意し、「金融サービスは銀行も証券も、決済も含めてコモディティ化するもので、どこかが手数料を下げたら他も下げざるを得ない。そこでどこを変えるか、どこで差別化するか。情報の部分をソフトウェアで自分たちなりのものをつくっていかなければいけない」と話した。