テクノロジーが最高の顧客体験の解とは限らない
佐俣氏はまた「顧客体験をベストにするのは必ずしもテクノロジーではない」と切り込んだ。
社長を務めるコイニーについて、「紙なんて使いたくないというインターネットっぽい人が集まってる」と説明し、申し込みに際しても紙を使わなくていいという設計にしたというが、メインユーザーの層はモバイルでペーパーレスに完結するよりFAXでの申し込みを好むことを紹介。「私達ができることは(ペーパーレスにこだわらず)FAXでの申し込みを受け付けて、内部で自動処理できるようにすること。それが顧客体験を最高にする。どうしてもFinTechはテクノロジードリブンになりやすいが、相対する人が誰かによって(サービスの提供の仕方を)代えていっていい」とした。
そのうえで、Uberは移動に対して決済を見えなくしたこと、「クルマに乗って出るだけにしたことが衝撃だった」と評価。クレジットカード業界もラストワンマイルを競っていると話し、「カードのデータが磁気からICになるとはいっても、カードを出すことは同じ。カードそのものを消す、支払う行為をなくすことができた会社が次のプラットフォームをとる」と予測。「いまの延長線上で考えると間違う。ディスラプティブなものは全然違う角度から出てくる」と主張した。
FinTechでも伸びている分野は?
モデレーターの岩本氏が、海外ではレンディングが伸びていることに触れ、FinTech業界でどこが伸びるのかと問うた。
瀧氏は「P2P日本は環境が違っていて、貸出ニーズも低い。レンディングより他のほうが伸びているだろうが、プレイヤーが圧倒的に少なく、伸びているといってもそのセクターに1社しかいなかったりする。判断するのは時期尚早だろう」と答えた。
そのうえで、「注目が当たっていないが、特定のセキュリティやブロックチェーンにはめっぽう強いなど、個別要素で注目すべき会社はある」と紹介した。
マネックスの高岡氏は、注目しているキーワードとして、「UX」と「データ」を挙げた。「UX」の例についてはUberに触れたほか、「データ」については、あらゆるデータが取れるようになり、また処理コストが下がっていることを指摘した。