(左から)高岡、北澤、瀧、佐俣、上原の5氏(写真=ZUU online編集部)
「日本向けのサービスを海外に持って行くのは難しい」
現状感じていることについて北澤氏は、主務官庁および現場の担当官の意識は高いとしながらも、規制業種であることとスタートアップとしてのジレンマがあることを明らかにした。(規制業種としては)人員を整え、資金を預かる以上はバッファーも必要だし、スピード感についても段階を踏んで進めるべきである一方、スタートアップとしてはあまり時間をかけられないこと、理想と実態にかい離があることに触れた。
業界の今後について佐俣氏は、金融の分野で生じるであろうジレンマに言及。少子高齢化が進む日本では今や80歳以上が1000万人いること、平均年齢はおよそ45歳で、アメリカとは10歳、インドネシアとは20歳くらい違うことを踏まえ、「日本にフォーカスして作ったサービスは海外に持って行けないし、その逆もしかりだ」と指摘した。
もう1つのギャップとして、「FinTech」として1つにくくられてるが(コイニーの分野である)「決済」は金融庁ではなく経産省の所管であることを説明。決済は経産省、送金は金融庁と分かれているが、利便性を考えるとここをまたいでサービスを提供していなければいけないとしつつ、「やる人(企業)は限られてくるが、競合が出てきて初めて伸びていくのも事実。なかなか(プレイヤーが)日本から出てこない中で、海外から(の参入企業に)すべて(市場を)もっていかれるのは考えたくない」と懸念を表明した。
上原氏は「国際金融規制は今後ますます厳しくなる。そうしたなかで、日本は金利も低く(さやを抜くことができず儲からないので)プレイヤーは増えない。政府が政策として取り組まなければ増えないだろう。海外ではレンディングクラブなどの学生向けローンがウケているが、金利の状況などが違うし、そもそも国をあげてやっている」と力を込めた。
日本のFinTechの課題は「人材」
高岡氏は日本の課題として、シリコンバレーやロンドンのようなエコシステムがまだできあがっていなことを指摘、起業家が足りていないことを嘆いた。シリコンバレーでは、有望な人材はまずベンチャーに行き、成功しなかったら大企業というキャリアパスがあり、そういう失敗しても次があるという環境ができていることを紹介して、そうした環境の必要性を説いた。
瀧氏は「ベンチャー企業としての課題は、FinTechに限らず顧客課題を解決することだが、産業全体としては、ネットとリアルの循環が必要。米国の政界にある“リボルビングドア”をつくり、人材が行き来ができるようにする。そういう人の循環が必要」と訴えた。
上原氏も人材の確保については問題意識を表明。「天才は(国内の)1億人から探すより(世界の)より60億人から探したほうがいい。その意味では、留学生を増やすなどグローバルから人材見つけてくることを考えなければいけない」としたうえで、同行としても「新しいことをやろうとすると今までのメンツでは足りないので、積極的に外の人とディスカッションしたい」との考えを示した。
サミットはドリームゲートなどでつくる実行委員会が主催、経産省やNEDOなどが後援。野村證券やKDDI、NTTデータ、三菱東京UFJ銀行、EY(アーンスト・アンド・ヤング)などがスポンサードしている。(ZUU online 編集部)
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