大阪都心部における人口の急増

近年、大阪都心部では築古のオフィスビルからタワーマンションなどへの建て替えが進んでおり、都心部でのオフィス面積の減少がオフィス市況にプラスに働いている。

都心部におけるマンション開発は、都心部の人口を大きく増加させている。住民基本台帳によると、大阪都心3区(中央区・北区・西区)の人口は、1995年から2015年までの20年間に+10万4千人増加(+72.4%)しており(*9)、同期間の大阪市全体の増加数(+19万2千人)の54.4%を占めている(図表-15)。

大阪市では同期間に人口が増加した区は15区で減少した区は9区で、増加率が高い区は中央区(+72.4%)、西区(+58.5%)、北区(+40.9%)、天王寺区(+39.8%)、浪速区(+37.0%)だった(*10)(図表-16)。都心部での居住人口の増加は、小売店や個人向けサービス業を増加させ、都心部でのにぎわいを増すとともに、オフィス市場にもプラスに働いていると考えられる。

また、最近では訪日外国人旅行者の急増により、大阪では8月のホテルの稼働率が95%を超えるなど(*11)、ホテル客室数の逼迫が進んでいる。そのため、都心部ではホテル開発も積極的に計画されるようになっており、住宅開発の進展と同様、中期的にはオフィス市況改善への効果が期待できる。

大阪オフィス市場 図15-16


大阪のオフィス賃料見通し

大阪の今後のオフィス供給や人口流入、経済成長率(図表-17)などに基づいたオフィス需給の見通しから、2021年までの大阪のオフィス賃料を予測した(図表-18)。

大阪オフィス市場 図17-18

推計の結果、大阪のオフィス賃料は、2015年から2016年(上期の数値、以下同じ)にかけて上昇(2015年比で+1.7%)するが、いったん2017年にかけて賃料は下落(同▲1.3%)した後に上昇に転じ、2021年には同+12.1%になると予測された。

楽観シナリオでは2016年に同+5.8%の上昇、2017年に同+6.6%、2021年に同+26.9%と予想され、悲観シナリオでは2016年に同▲3.7%の下落、賃料が底となる2018年に同▲12.7%、2021年に同▲3.7%という結果だった。