東京都心部のオフィスビルの需給がひっ迫してきている。オフィス不動産の仲介業者らの調査によれば、千代田、中央、港、新宿、渋谷といった主要都区内の空室率が5%を下回っており、オフィスの供給が不足しつつある様子が窺える。
その大きな原因の一つはオフィスやマンションの都心回帰傾向だが、大きな変化はなさそうだ。オフィスビルの仲介や不動産管理を行うビルディング企画も2015年9月の都心5区の空室率について、4.78%と5カ月連続で低下していた調査結果を公表。オフィス仲介大手の三鬼商事も10月の都心5区の空室率について、4.46%とする調査結果を発表するなど、需給はまだ緩みそうにはない。
そうした中で、多数の都心物件を保有するオフィスビル特化型REIT(不動産投資ファンドである投資法人が発行する投資証券)に注目する見方も出てきている。
海外政府系ファンドも都心オフィスに熱視線
都心のオフィスについては、海外投資家もアツい視線を注いでいる。中国人のタワーマンションの爆買いが象徴的で、東京の不動産市場における外国人投資家の存在感は大いに高まっている。さらには、新たに参入してくる海外投資家もいる。
それが、世界最大の政府系ファンド(ソブリン・ウエルス・ファンド)を運用するノルジスバンク・インベストメント・マネジメント(ノルウェー中央銀行の資産運用部門)だ。アジアではシンガポール、上海に次ぐ3番目の拠点となる同社東京オフィスが8日に開設し、スタッフ3人が不動産部門に所属しており、不動産に特化した活動を当面は行う構えだ。
同部門は、東京とシンガポールをアジアで最も重要な市場と位置付け、特に東京は安定収益を期待している。成長率の高い新興市場ではないものの都心部のオフィスビルに投資する方針だという。