◆住宅取得費の増加に対し、自己資金と借入金を増やすことで対応
次に住宅取得資金であるが、住宅取得資金合計は、全体、40歳未満ともに、2012年から2013年は低下したが、2014年は全体が4,564万円、40歳未満が4,373万円で、それぞれ167万円、225万円増加している。
2014年の内訳では、全体の借入金が252万円の増加、自己資金は84万円減少、贈与額は増減ほぼなしである。40歳未満では、借入金が225万円の増加、自己資金は増減なしで、贈与額は1万円増加と、ほぼ横ばいとなっている。取得者は、建築費の高騰に対し、借入金を増やすことで対応してきたことが分かる。(図表1-2-8、1-2-9)
◆自己資金比率の低下
自己資金比率についても確認しよう。自己資金比率とは、取得資金合計に対する自己資金の割合で、これが高いほど借入返済の負担が軽くなる。2014年における全体の自己資金比率は30.7%、これに対し40歳未満は15.3%と半分程度である。
40歳未満の推移をみると、過去5年間低下し続けていて、明らかに全体の傾向と異なる。贈与額も加えた割合も同様である。つまり、40歳未満の取得者は、建築費の高騰に伴う取得費の増加に対し、自己資金や贈与を増やすことができず、借り入れに頼っているのである。(図表1-2-10)
以上のことから、40歳未満においては、建築費の高騰により借り入れにも限界が生じて、戸建て注文住宅の取得を手控えざるを得ない層が一定程度いたのではないかと推察される。
したがって、2014年に40歳未満において高年収層の割合が高まり、低年収層の割合が低くなったのは、取得資金が用意できない低年収層が減り、その一方で、建築費の高騰に応じた資金を用意できる高年収層が増えたためとみることができる。消費税率の引き上げも、こうした状況をもたらした要因であることが予想される。そこで、次に消費税の影響を分析したい。