消費税の影響
◆消費税率引き上げの動き
消費税の増税は、住宅取得に大きく影響を与える要因だと考えられてきた。先に見たように建築費が高騰していた状況下での消費税の5%から8%への引き上げが、実際にどのような影響を与えたのかを調査結果から見てみたい。
まず、この間の消費税率引き上げの動きを図表1-3-1で確認しておきたい。2012年6月26日に当時の民主党野田内閣において、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」(税制抜本改革法)が国会に提出され、8月10日に成立した。
これにより、2014年4月1日より5%から8%へ、2015年10月1日より10%への引き上げが決定され、次の安倍内閣の下で、2014年4月1日より8%への引き上げが実施された。
その後、2014年11月に安倍首相が、経済状況等を総合的に勘案した結果として、消費税率10%への引き上げを、2017年4月1日に延長すると表明し、その後の解散総選挙を経て、2015年3月31日の平成27年度税制改正で、引き上げ時期の延長を決定した。
消費税率の引き上げに対する対策として、住宅税制では、平成25年度税制改正で、「住宅ローン減税」を拡充し、適用期限を2017年12月まで延長した。また、2013年10月1日の閣議決定で、住宅取得に係る給付措置を行うことが明記され、2014年4月1日より「すまい給付金」として実施された。
これらは平成27年度税制改正において、消費税率10%への引き上げの延長に対応して、適用期間が2019年6月まで延長された。(図表1-3-1)
2013年度の戸建注文住宅の顧客実態調査(2013年1月1日~12月31日)は、消費税引き上げが決定し、翌年の引き上げを控えた期間の取得を対象にしている。2014年度調査(2014年1月1日~12月31日)は、8%への引き上げ直前から、引き上げ後、10%への引き上げを控えた期間の取得を対象にしている。
したがって、2013年度調査では引き上げを前にした駆け込み取得の状況、2014年度はその反動と2015年度以降の10%への引き上げ前の駆け込み取得の状況が読み取れると予想される。