◆消費税率の引き上げを動機とする取得層が急激に増加

まず、建築動機について見ると、全体の「消費税が上がりそうだから」の割合が2012に20.9%、2013年に30.8%と、急激に高くなっている。

2013年は、「従前住宅の古さ」、「良好な住環境への住み替え」、「子どもの出生・成長・独立」などをしのぎ、例年最も割合の高い「従前住宅の狭さ」に続いて高くなっている。消費税率8%への引き上げは、駆け込みでの取得を大きく促したことがわかる。(図表1-3-2)

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「消費税が上がりそうだから」の割合を全体と40歳未満で比較すると、常に40歳未満の割合が高くなっており、2012年、2013年では、その開きが約5~6ポイントと大きくなっている。消費税率の引き上げが、特に低年齢層に駆け込みを促す結果となっていたことがわかる。

一方、「住宅ローン減税があるから」という動機は、消費税とは反比例した動きとなっており、2010年以降の低下傾向は、拡充が決定された2013年まで続いてきた。この時点では、消費税率引き上げの圧力に比べ、住宅ローン減税の拡充効果は限定的であったことが読み取れる。ただし、40歳未満の割合は常に全体より高く、低年齢層への効果が比較的高かったと言える。(図表1-3-3)

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◆消費税率の引き上げは、取得層の資金計画への圧迫感を大きく高めた

消費税の資金計画への影響を見ると、「資金計画にかなり圧迫感があった」、「資金計画に少し圧迫感があった」の合計である「圧迫感あり」の割合は2007年以降年々低下し続け、2012年にはついに半数を下回った。

しかし、2013年に反転し、消費税率が引き上げられた2014年は、全体で75.5%となっている。40歳未満の割合はさらに高く8割を超えており、やはり低年齢層の資金計画への影響がより高いことがわかる。(図表1-3-4)この圧迫感は、ある程度建築費と相関しており、2008年以降建築費が低下するとともに、圧迫感ありの割合も低くなっている。したがって2013年の増加は、建築費の高騰による影響が高いと思われる。

2014年は建築費の高騰に加え、実際に消費税率が8%に引き上げられたことで、取得層により高い圧迫感を与えたものと考えられる。(図表1-3-5)

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