第三者委員会
(写真=PIXTA)

企業が不祥事を起こした際、第三者委員会が設置されることが多くなってきた。2015年には約50もの第三者委員会の設置が公表されている。

たとえば、東芝「不適切」会計事件では、第三者委員会による調査報告書として、7月20日に要約版が、翌21日に全文が公表され、その内容などが話題となった。旭化成建材杭打ちデータ偽装事件でも第三者委員会が設置され、現在調査中であるが、いったいどんな組織なのか。

独立性・客観性ある専門能力を有する社外の第三者

企業が不祥事を起こした際、一昔前なら社内のコンプライアンス部門や法務部門などによって、社内調査が行われるのが一般的であった。

しかし、同僚同士による調査では馴れ合いが生じる危険がある。コンプライアンス部門や法務部門の社員と言っても、あくまでも経営者の指揮命令下にある者。そのような者が経営者の不正を徹底的に暴くことなど期待できない。調査結果や再発防止策などを公表した際にも、世間からは調査が甘いのではないかと見られがちだ。そこで登場したのが第三者委員会だ。

独立性・客観性ある専門能力を有する社外の第三者(弁護士や公認会計士などが選ばれることが多い。)が、事件を徹底的に調査し、その知見と経験に基づいて原因を分析し、再発防止策を提言する。第三者は、経営者のためではなく、企業をとりまくステークホルダー、すなわち、株主、投資家、証券市場、ユーザー、取引相手などのために活動するのである。

第三者委員会は一件落着させるためのツール?

もっとも第三者委員会の設置は法律が要求しているものではない。立ち上げの決定や委員の任命は不祥事を起こした企業自身が行うため、企業をとりまくステークホルダーのために仕事をするのが建て前とはいっても、例えば経営者の保身を手助けするような杜撰な調査を行った場合に、誰に対してどのような責任を負うことになるのか不明確である。

こういったこともあり、「第三者」とは名ばかりで、「経営者の依頼によりその責任を回避・隠蔽するものではないか」との批判が聞かれるようになっていった。「経営者の隠れ蓑として使われている」との疑念が持たれるようになってきたのである。第三者委員会は一件落着させるためのツールと揶揄する声さえある。

日弁連はガイドラインを公表して第三者委員会の質を担保

このような状況は、多くの第三者委員会の主要な構成員となっている弁護士や弁護士会の信用を損なう由々しき事態だ。そこで日本弁護士連合会は2010年、「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」を公表し、質の担保に乗り出した。

これ以降、多くの第三者委員会報告書はガイドラインに「準拠する」「基づく」と表記して、委員会の独立性や透明性、説明責任の遂行に配慮するように改善されていった。

ところが最近は、「ガイドラインの存在そのものが経営者の隠れ蓑になっているのではないか」という批判まで出ている。ガイドラインの重要な項目に配慮せず、あるいはそれに反して「第三者委員会報告書」とはいえない報告書が出てきているのではないかというのだ。

第三者委員会の調査報告書の「格付け」も始まる

そこで2014年、ガイドライン作成に関わった弁護士メンバーを中心として、さらに研究者やジャーナリストなどが参加して、第三者委員会報告書格付け委員会が発足した。同委員会は、第三者委員会の調査報告書を「格付け」して公表することにより、調査に規律をもたらし、第三者委員会およびその報告書に対する社会的信用を高めることを目的としている。

同委員会はこれまで7つの第三者委員会報告書を「格付け」してきた。最も直近の11月20日に「格付け」を公表した対象が、冒頭の東芝「不適切」会計事件に関する調査報告書である。同報告書に対する評価は、C評価4人、D評価1人、F評価(不合格)3人と、大変厳しいものとなった。このような極めて低い評価となった理由としては、以下の点が問題であったとされている。

(1)調査範囲を委員会が自ら設定することなく、東芝からの委嘱事項に調査範囲を限定した点
(2)調査はステークホルダーのためではなく東芝のためだけに行われたとしている点
(3)東日本大震災以降の原発事業の環境変化やウェスチングハウスの減損問題に触れなかった点
(4) 不正な会計処理に関与した歴代3人の経営トップなど関係者の動機面についての事実認定と評価が欠落している点
(5)監査法人を調査対象にしなかった点

特に久保利英明委員は、「本報告書は第三者委員会報告書とは言えない」、「『会社から独立した』『真因調査』の為の委員会という一般用語としての第三者委員会にも該当しない」、「公共財としての価値は認められない」などと、痛烈な評価を行っている。

格付け委員会の活動が、第三者委員会に対する信頼向上や企業不祥事防止に役立ち、ひいては日本の証券市場に対する信頼向上へつながることが期待される。(ZUU online 編集部)

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