元祖女性株式評論家・木村佳子の「賢い投資法」
明けましておめでとうございます。いよいよ2016年のマーケットがスタートしましたが、今年の投資はどういう作戦でいくか、イメージできていますか?
相場は日々の自然環境と似ています。晴れの日、雨の日、曇りの日があるほか、突然のゲリラ豪雨のような展開にも見舞われやすいものです。
そこで、日頃からのイメージトレーニングが大切というわけです。自治体や学校、大規模マンションなどで定期的に防災訓練を実施している例を思い浮かべましょう。「いざというときの動線を確認する」という点で防災訓練はとても有効です。投資でも防災訓練に似た準備が必要ではないでしょうか。2016年の全体像を捉え、イメージトレーニングをしておくだけでも勝率が変わります。
日経平均株価の流れを捉え、全体像を把握する
まず、日経平均株価についてです。ニュースなどで必ず伝えられる代表的な株式指標ですから、この指標が高ければ「ああ、今日の相場は強いんだな」、弱ければ「冴えないんだな」とおおよそのことがわかります。株式市場の全体像を捉えるうえで、とても重要です。日経平均株価は時に何百円も一気に上下し、「最大の上げ幅(下げ幅)となりました」というような展開になることもあります。
この日経平均株価に採用されているのは、東京証券取引所の一部に上場される、各業種の代表的な銘柄群です。採用銘柄は年々入れ替えられ、1980年代は食品や流通など、どちらかというと円高に強い銘柄が多かったのですが、今は電機など円安に強い銘柄の採用が多くなっています。
従って、円安が進行すると日経平均株価は上昇傾向、円高では下落することが多いといえます。円安はドル高、円高はドル安ですので、突き詰めるとアメリカ経済が強いとき、日経平均株価も値上がりしているとも言えるでしょう。
年間の騰落率換算でみると、2015年の日経平均株価は安値から上げ方向に21.78%程度、逆に高値から下げ方向に23.22%ほど変動しています。この程度の年間調整幅であれば、配当取りをするなかで、「とんとんの収支」で持ちこたえることも可能でしょう。
ただし、個人投資家の多くが資産を減らす大きな要因として「信用取引」の存在を忘れてはいけません。つまり、信用取引でフル・レバレッジにしてしまい、見込みが外れて将来有望な株を泣く泣く安値で手放すケースです。信用取引をする場合はリスク管理能力が何よりも大切です。2016年の投資行動では、レバレッジを効かせるときと減らすときを、しっかりと見極めたいですね。
今年1年の流れをイメージしよう
2016年の相場を動かす可能性としてまず、イベントに注目してみましょう。
〔1月〕国会開催~(4日)
〔2月〕確定申告受付開始、ホンダ新型オデッセイ、「ニンテンドー2DS ポケットモンスター 赤 緑 ピカチュウ 限定パック」発売。電力10社と都市ガス4社、2016年2月の料金値下げ、国内初のスマホ専業証券 がサービス開始。
〔3月〕本決算企業多数、中国では全国人民代表大会、中国人民政治協商会議開催、26日北海道新幹線開業。
〔4月〕広島で外相サミット、電力小売り自由化。
〔5月〕伊勢志摩サミット、3月末決算企業の業績発表と見通し。
〔6月〕外資決算
〔7月〕参議院選挙(一部にダブル選挙の可能性)
〔8月〕日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス開催
〔9月〕3月期末決算企業の中間決算
〔10月〕第29回東京国際映画祭25日(火)から。短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大(年収106万円以上が適用対象=パート労働者、雇用者らに社会保険料支払い発生)
〔11月〕アメリカ大統領選挙 9月中間決算発表
〔12月〕外資決算
今年1年のイベントで、外国人を含むすべての投資家にとっての不確定要素は、日本では7月の参議院選挙(一部にダブル選挙説)、海外では11月のアメリカ大統領選挙でしょう。外資決算は6月と12月で、メジャーSQ(オプションと先物の特別清算日)とも合致するため、選挙結果がどうなるか分からない不確定要素に対して6月、12月にリスクヘッジする動きが広がる可能性は高いと考えます。
選挙前、現政権側は勝ちたいために最大級のポピュリズムを意識するでしょう。ということは株高を誘発しやすい状況が想定されます。2015年12月の日経平均株価の安値1万8562円に前述の年間調整幅を勘案すると2万2606円程度の高値があるかもしれません。2007年7月の参議院選挙にかけての展開を参考にすれば2万1780円前後。また、過去の上げ幅を参考にすれば2万3200円前後と試算されます。
選挙後の反動安リスクを想定する
しかし、株式市場では「知ったらおしまい」という傾向が強いため選挙後は反動安となる可能性が強そうですね。その場合は過去の調整安を考えても1万7900円~1万7357円程度の水準はありそうです。
また、リスクという点で日本では火山活動の活発化に伴う地盤変動、世界的気象変動による集中豪雨と台風大型化も意識したいところです。国際緊張という点では代理戦争の様相を示すシリア情勢や3月に重要会議が開催される中国の動向も気になるところです。特に翌月4月にどのような行動変化があるかに注視ですね。
個人投資家はこうした流れの中でいつ売り、いつ買うのかのシナリオメイキングをしっかりとして、高値が予測される前に売り、安値のときに買えるように段取りを整えておきたいものです。イメージトレーニングで想定されるリスクを管理しながら、2016年を実り多い年にしてくださいね。
【著者略歴】木村佳子(きむら・よしこ)
生活経済情報研究所 ㈱ビューズ代表、日本取引所JPX/女性講座グランドマスター。個人の生活経済、金融リテラシー、ストラテジーをテーマに民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催するセミナー等での基調講演を務めるかたわら、NPO法人日本IRプランナーズ協会理事、日本チャート分析家協会、一般社団法人くらしとしごと生活者フォーラム代表理事などの要職も務める。一級FP技能士(国家資格)。日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP。公的面では各省庁の審議会委員、専門委員などを務める。
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