貿易(韓国・台湾・タイ・インドネシア・インド:11月、その他の国:10月)
輸出(通関ベース)の伸び率(前年同月比)は低迷しているが、韓国・マレーシアのようにマイナス幅の縮小が目立つ国もある(図表2)。原油一段安や中国をはじめ世界経済の回復が鈍いことから輸出に下押し圧力が掛かり、持ち直しが遅れている。
韓国は、これまで受注減が続いた船舶の持ち直し、またマレーシアは通貨安を追い風に原油や製造品が上昇し、それぞれ3ヵ月・6ヵ月平均を上回った。
一方、台湾は主力の電気機械や電子製品、化学製品、プラスチック製品などが低下し、3ヵ月・6ヵ月平均を下回った。またインドネシアは非石油ガスを中心に低下し、1年2ヵ月連続のマイナスを記録した。
輸入の伸び率(前年同月比)は、加工貿易の縮小による大幅マイナスであるものの、足元では景気刺激策や公共投資の執行加速などによって内需が拡大しており、マレーシア・インドを除く国・地域では上昇傾向が見られる(図表3)。
フィリピンは同16.8%増と、投資需要が旺盛で原材料・中間財、資本財が牽引役となり、3ヵ月ぶりの二桁増となった。
自動車販売(11月)
11月の自動車販売台数の伸び率(前年同月比)を見ると、販売が好調な韓国・フィリピン・インドは堅調に推移し、前月にマイナスだった台湾・タイ・インドネシアが3ヵ月・6ヵ月平均を上回るなど、持ち直しの動きが見られた(図表4)。
韓国は前月から低下するも同11.6%増の二桁増と、引き続き新車効果や個別消費税の引下げ(*1)が追い風となって高水準を記録した。またインドは同+10.9%と10月に続いて祭事期に伴う需要増や金利引下げ効果を受けて2ヵ月連続の二桁増を記録した。
さらに台湾は同2.7%増と、明らかとなった自動車買い換え促進策(2016年施行)で減免の対象外となる者らの買い控えの動きが弱まって上昇に転じた。このほか、タイは同4.6%増と、2016年の自動車物品税の改定を前に駆け込み需要が増加して2年7ヵ月ぶりのプラスに転じた。
一方、マレーシアは昨夏に進んだリンギ安を背景とする値上げを前に駆け込み需要が生じたものの、同1.4%増と前月から鈍化した。またインドネシアは同4.8%減とマイナス幅は縮小したものの、14年11月の燃料補助金削減や金利の高止まりなどから回復が遅れ、15ヵ月連続の減少となった。