(写真=PIXTA)
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◆実体経済

生産面の伸び率(前年同月比)の動きを見ると、内需は回復しているものの、輸出は低迷していることから持ち直しの動きがやや鈍っている。

韓国とフィリピンはそれぞれ4ヵ月ぶりにマイナスに転じた。一方、インドは前年同月比+9.8%増と、祭事期に伴う国内需要の拡大を背景に消費財を中心に大きく上昇し、5年ぶりの高水準を記録した。

◆消費者物価上昇率

11月の消費者物価上昇率(前年同月比)は、14年後半の資源価格下落による下押し圧力は後退し、タイ・インドネシアを除く国・地域で上昇した。インドは祭事期に伴う消費需要の増加やモンスーン期(6-9月)の雨不足による一部食料品価格の高騰により3ヵ月連続で上昇した。

一方、インドネシアは14年11月の燃料補助金削減の影響が剥落し、中央銀行のインフレ目標圏内(2015年は3-5%)まで低下した。

◆金融政策

12月は、韓国・台湾・タイ・インドネシア・フィリピン・インドの中央銀行で金融政策会合が開かれた。政策金利は台湾が引下げ、その他の会合では据え置きとなった。

◆12月の注目ニュース

-韓国:2016年経済政策方針を公表(16日)
-フィリピン:次期大統領選 最高裁がポー氏の出馬資格審理へ(28日)
-インド  :冬季国会でGST法案先送り(23日)

◆1月の主要指標

1月は、韓国・台湾・フィリピンで10-12月期のGDP統計が公表される。10-12月期は、韓国・台湾では輸出が停滞しているものの、景気刺激策が奏効して回復する見込みである。またフィリピンは引き続き個人消費が堅調を維持し、政府部門の拡大が景気を押上げる構図が続くとみられる。

生産活動(韓国・台湾・タイ:11月、その他の国:10月)

アジア新興国・地域の生産指数の伸び率(前年同月比)を見ると、内需は回復しているものの、輸出は低迷していることから持ち直しの動きがやや鈍っている(図表1)。

アジア新興経済レビュー

インドは前年同月比9.8%増と、祭事期に伴う国内需要の拡大を背景に消費財を中心に大きく上昇し、5年ぶりの高水準を記録した。

またマレーシアはリンギ安による価格競争力の向上を受けて、主力の電気・電子製品を中心に堅調に推移した。さらにタイは同0.1%増となり、来年の物品税導入を前に需要が増えている自動車をはじめ電気機械、一般機械などが上昇して3ヵ月ぶりのプラスに転じた。

一方、台湾は同4.9%減と、アジア向け輸出の不振で主力の電子部品や機械設備が低迷し、7ヵ月連続のマイナスを記録した。またフィリピンは牽引役である電気機械の伸びがやや鈍化し、4ヵ月ぶりのマイナスに転じた。

韓国は同0.3%減と輸出の回復の遅れや在庫調整などから電子部品・デバイスや情報通信機器などを中心に低下し、4ヵ月ぶりのマイナスに転じた。