(写真=Getty Images)
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政府は2015年末、臨時閣議で2016年度予算案を閣議決定した。一般会計総額96兆7218億円とし過去最大の当初予算ではあるが、財政計画に沿って社会保障費を実質5000億円程度の増加に抑え、新規国債の発行も2兆円以上減らす予算案だ。

これは財政健全化の為に支出を抑えると同時に、経済再生も行おうとする意欲的な予算案になっている。この2016年度予算案で何に力を入れようとしているのか、何が変わろうとしているのか、投資家・ビジネスパーソンが注目すべき点を見ていく。

一億総活躍社会推進に向けた中小企業対策重視。

2016年度予算では1億総活躍社会推進に向けて、「希望出生率1.8」や「介護離職ゼロ」、「GDP600兆円」に向けて様々な施策が行われているが、その実現の為の方法のとして、中小企業への経済対策が一つの大きな軸になっており、中小企業・小規模事業関係の予算は1825億円となっている。

例えば「介護離職ゼロ」についての思索としては、社員が介護休業を取得し、やすくなるように「介護支援プラン」を策定した中小企業への助成金を19億円用意している。また、給与面を理由に介護休業が取れない事を防ぐ為に、介護休業給付の給付率を40%から67%へ引き上げる事も決定し、44億円を計上した。

同様に「GDP600兆円」についても、アルバイトや契約社員を正社員として採用した場合に、1人あたり60万円を企業に助成する制度を予算化し452億円を予算化。また大学などと連携して革新的なサービスモデルを構築する企業へのサポートに2015年度補正と合わせて150億円予算をつけ、知財を活用した海外展開のサポートに20億円といった、新事業の創出や海外進出のサポート面について今年度予算では力を入れている。

従業員の「働きやすさ」という企業側には負担を強いる部分では金銭面のサポートを行い、新事業構築や海外展開といった企業の成長の後押しにも力を入れる形だ。

公共事業、復興は新しいステージへ

公共事業関係費は26億円増の5兆9737億円となっており、ほぼ横ばいだ。今回の特徴は、インフラ設備のストック効果、すなわちいかに賢く投資をして、いかに賢く使うかというインフラマネジメント戦略へ転換し、わずかな投資で過去の投資効果を再発させるかを重視している事が特徴だ。

経済成長の為にはしっかりとした社会資本を整備しなければならないとし、橋などのインフ老朽化対策を重点的に行うために4100億円を予算付けしている。

また近年多々見られる各種災害対策について4434億円を付けて防災・減災対策を充実させる方針だ。東日本大震災以降、特にいわれている物流ネットワーク整備強化には3170億円を付けて、空港や駅などへつながる道路をしっかりと強化する。震災から約5年が経つ中で、復興にしっかりと力を入れながら防災、特に関東・東北豪雨を受けて水防災意識社会の再構築も本格化させると共に、経済成長もしっかりと出来る公共事業政策を進めていこうとする攻守そろった予算編成となっている。

少子高齢化という構造課題に取り組む編成

2016年1月4日に召集された通常国会で麻生太郎財務大臣は「今こそ、少子高齢化という構造的課題に取り組まなければならない」との財政演説を行った。

日本の経済発展の為に、中小企業対策や公共事業を行う事は重要ではあるが、根本的な少子高齢化という構造問題を解決しない事には日本経済の完全復活は難しい。1億総活躍社会を実現するために介護等だけでなく、子育て支援の為の保育所の整備を行い女性の就職・活躍の後押しを行うこと。

また年金受給者のうち所得が少ない者に対しては現金を配り消費を喚起する等、経済復活に向けた緊急対策を行いながら少子高齢化の根本的解決を目指していこうという予算編成となっている。

地方創生についても2016年から本格化する。東京集中からの脱却の為に、まずは移転可能な所から省庁を地方に移転しようという動きもあり、特に京都への文化庁移転は政府内でも理解があるといわれており、消費者庁に至っては既に運用試験も行われている。今回の予算は、少子高齢化だけでなく、地方創生も含めた日本の様々な構造課題に取り組もうという予算編成だ。

2016年度の予算案については、議論が始まったばかりでどの様に着地をするかはまだ見えてこない。日本経済が今後どの様に回復するか、予算はこの国の未来も左右する重要な投資だ。

今の日本のデフレ不況をどの様に脱出するのか。税収の伸びだけで見ると15兆円伸びてはいるが、支出の伸びと比較すると微々たる物という所が現状だ。

少子高齢化、地方創生といった日本が抱える課題を解決する最初の一歩ともなる16年度の予算について、今通常国会で与野党がどの様に議論をするのか、どの様な形で予算が成立するのか、投資家・ビジネスパーソンはしっかりと注目する必要がある。(木之下裕泰、金融・政治アナリスト/MBA・金融工学修士)

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