雇用統計

4月29日、30日はアメリカのFOMCがありました。そして、アメリカにおける注目指標が目白押しの1週間です。28日には2月ケースシラー住宅価格指数や3月中古住宅販売、30日には4月カンファレンスボード消費者信頼感指数、4月ADP雇用報告、1-3月期(第一四半期)GDP速報値、4月シカゴPMI、5月1日、4月ISM製造業景況感指数、5月2日、米4月雇用統計の発表が相次ぎました。5月2日の4月雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月に比べ28万8千人増えました。エコノミスト予想が21万5,000人の増加でしたからサプライズ発表とも言えます。

これを受け、為替相場は円安ドル高となり、一時1ドル103円を付けました。また、アメリカ株式市場もプラスで始まりました。雇用者数の大幅な伸びで失業率も6.3%まで下がっています。ただ、失業率については、職探しをあきらめた人も多かったために、予想よりも大きく下回ったという見方もあります。部門別にみると建設、小売り、ヘルスケアといった分野が雇用を増やしています。

アメリカの雇用統計は今年に入ってから10万人を超える伸びが続いています(1月11.3万人、2月17.5万人、3月19.1万人)。これにより失業率も前年同月に比べ、約1%下がっており、アメリカ経済が力強さを取り戻してきたとみることもできます。4月の大方の予想は20万人を超える数値でしたが、結果、この数値を大きく上回ったことはアメリカ経済の底堅さを感じます。為替相場が円安ドル高という動きで反応したのもその表れと言ってよいでしょう(その後、ウクライナ情勢の影響もあり、一進一退となっています)。

今後も失業率の改善が続けば、アメリカの金融政策も選択肢が広がり、低金利政策の早期の解除も期待できます。日本は追加金融緩和政策が期待されているわけですから、トレンドとしては円安ドル高が自然と考えるべきでしょう。順当にいけば、日本よりもアメリカの政策金利が上昇する時期が早く、そうなると、金利差を狙ったドル資産での運用を考える人も再び増えてくるはずです。将来、為替差益の恩恵を受けたいのであれば、先回りしてそろそろしっかりと仕込んでおくのも1つの選択肢でしょう。もちろん、雇用統計が継続して力強い数値であるということが前提です。

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Photo: 3D Employment Graph by StockMonkeys.com