大阪の中心を囲みながら走行している大阪環状線は、人々にとっても欠かせないものと言える。JR西日本 <9021> は2016年度、この大阪環状線に新型車両「323系」を投入する。大阪環状線の10駅の駅から繰り出されるドラマが関西テレビで2016年1月12日から放送されているほか、ボードゲーム「モノポリー」の限定版も5000個が発売されている。

大阪環状線への新型車両導入で起こる変化について考えてみよう。

新型車両の8つの特徴

現在の環状線には数種類の車両が導入されているが、主力は1960年〜80年代に製造された103系と1980年代に製造された201系だ。新型車両「323系」の特徴はいくつかある。

まず「4ドアから3ドアへ」。現在、関空快速・大和路快速は3ドア、103系と201系は4ドア。そのため、列車によってホームの並ぶ位置が異なるため、利用者にとっては利用しづらい点もある。すべて3ドアになることで乗る際の混乱はなくなりそうだ。

そして「各車両に車イスやベビーカースペース」ができるほか、「照明はLED」。社内の案内は「日中英韓の4カ国語」。鉄道には運転士が気を失った場合などのために、安全システムEB装置が設置されているが、新型車両では、その装置を強化した「EB-N形装置」が導入され、故障に強くなっている。

また「8両目の座席数を減らし、乗降スペースを確保」もされている。8両目はラッシュ時の混雑が激しい車両で、ドアにコートやカバンが挟まっている光景も見られるため、座席数を減らし乗降スペースを拡大、確保することでラッシュ時の混雑が避けられるという見込みだ。

そして訪日外国人向けに「無線LANサービス」も備えるほか、「空気洗浄機」も試験設置されるという。

323系導入による期待 その反面、不安も

国は2020年までに全国のホームドアを800駅まで増やす目標を掲げている。しかし、大阪環状線では現時点で設置されていない。JR西日本では東西線の2駅、山陽新幹線の1駅のみの導入とJR東日本 <9020> と比べても大幅な遅れをとっている。

これまで大阪環状線のホームドアの設置が実現していなかったのは、車両の3ドア、4ドアの混合のためが大きな原因だとも言える。これが323系の新型車両導入によって、今後JR西日本管内でもホームドアの設置が一気に進むことが期待されている。

導入にともなう不安もある。たとえばUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)では来園者数が右肩上がりに伸びているが、USJへのアクセスを一手に引き受けているのは大阪環状線だ。

現在の4ドアが新車両の導入で3ドアになることで、乗る際に迷わなくなるものの、乗り降りする場所が限られることもあり、ホーム混雑に拍車がかかることも予想される。これは通勤ラッシュ時も同様だ。(ZUU online 編集部)

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