(写真=PIXTA)
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◆中国の2015年の経済成長率は実質で前年比6.9%増となり、2014年の同7.3%増に比べて0.4ポイント低下した。供給面から見ると第2次産業の不振が目立つ一方第3次産業は堅調、需要面から見ると投資の不振が目立つ一方消費は堅調だった。また、名目成長率は前年比6.4%増と実質成長率を0.5ポイント下回って"名実逆転"となった。特に、工業部門の"名実逆転"は5.5ポイントの大幅で、名目成長率は前年比0.4%増と極めて低かった。

◆供給面から見ると、工業生産は6%前後で一進一退、製造業PMIも8月以降は50%を5ヵ月連続で下回るなど製造業の不振が目立った一方、非製造業PMI(商務活動指数)は堅調に推移して、景気を下支えする要因となった。なお、直近12月の製造業PMI(予想指数)は44.6%と50%を大きく割り込み、景気の先行きに対する不安の高まりを示した。

◆また、需要面から見ると、海外需要の低迷を受けて輸出が不振だったのに加えて、固定資産投資が2014年の伸びを5.7ポイント下回るなど投資も大きく減速した。但し、住宅販売や自動車販売の持ち直しを背景に消費は年末にかけて改善、消費の堅調が景気を下支えした。

◆一方、金融面から見ると、通貨供給量(M2)が伸びを取り戻し目標値「12%前後」を上回る13%台で推移、同時に銀行融資残高も大きく伸びを高めた。しかし、中長期の融資は伸び悩んでおり、“M2の伸びの高まりで今後は投資が増える"と見るのは時期尚早だろう。

◆2015年は過剰設備の解消を目指す構造改革が本格的に動き出した年だった。そして、2016年はさらに構造改革が前進する年となりそうである。構造改革は景気に対して負のインパクトを与えるので、中国政府は財政と金融の両面から下支えする姿勢を鮮明にしている。しかし、"雇用不安"、"金融不安"、"消費失速"の3つのリスクがあるので注意は怠れない。

中国経済1