ここもとの景気動向(需要面)
中国経済を需要面から見る上では、まず消費の代表指標である小売売上高と投資の代表指標である固定資産投資の2つの動き確認しておく必要がある。
2015年の固定資産投資(除く農家の投資)は前年比10.0%増と2014年の同15.7%増を5.7ポイント下回った。固定資産投資は毎月発表されるが年度累計なので時系列の動きが読み取りにくい。そこで、当研究所で単月に直した図表-8を見ると、2015年は右肩下がりで減速、10-11月には底打ちしたように見えたものの、直近12月は前年同月比7.8%増(推定(*1))と11月の同10.2%増を下回り、ここ数ヵ月は一進一退となっている。
他方、2015年の小売売上高は前年比10.7%増と2014年の同12.0%増を1.3ポイント下回った。2015年の流れとしては、4月には前年同月比10.0%増まで低下したものの、住宅販売や自動車販売の持ち直しを背景に徐々に改善、直近12月は同11.1%増まで伸びが回復してきた(図表-9)。
一方、海外需要を見るために、輸出の動きを確認してみると、世界経済の低迷を受けて2015年の輸出金額(ドルベース)は前年比2.9%減に落ち込んだ。直近12月は前年同月比1.6%減とマイナス幅は縮小したものの前年割れが続いた(図表-10)。
先行指標となる製造業PMI(新規輸出受注)も15ヵ月連続で50%を下回っており、先行きにも明るさは見えてこない。従って、2015年の中国経済を需要面から総括すると、輸出の不振が足かせとなり、投資も大きく減速したが、消費の堅調に下支えされて減速幅は小幅に留まったといえるだろう。