その他の注目指標の動き

中国経済を見る上では電力消費量の動きも注目度が高い。2015年は前年比0.5%増と2014年の同3.8%増を3.3ポイント下回った。電力消費量は産業構造の変化が影響するため産業別に見ると、全体の7割超を消費する第2次産業は同1.4%減に落ち込んだものの、第3次産業は同7.5%増と2014年の伸び(同6.4%増)を上回り、月次で見ても一進一退ながら堅調に推移している(図表-11)。

また、モノの移動量を示す貨物輸送量の動きも見逃せない。2015年の鉄道貨物輸送量は石炭の需要減もあって前年比11.9%減と落ち込んだ。一方、道路貨物輸送量は同6.4%増とプラスの伸びを維持したが、2014年の同8.7%増に比べると伸びは鈍化、景気の鈍化を示している(図表-12)。

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一方、景気が良くなるとおカネも動きだすことから通貨供給量(M2)の動きも注目される。2015年の流れとしては、年前半6月までは2015年の目標値だった「12%前後」を下回って推移していたものの、7月に伸びを回復した後は目標値を上回る13%台で推移している(図表-13)。

銀行融資サイドから見ても、銀行融資残高は7月に大きく伸びを高めた(図表-14)。しかし、銀行融資の中でも実際の投資に回ることの多い中長期の融資は伸び悩んでおり、12月には伸びがむしろ減速した。従って、"M2の伸びの高まりで今後は投資が増える"と見るのは時期尚早だと思われる。

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