ここもとの景気動向(供給面)

中国経済を供給面から見る上で最も注目されるのが工業生産(実質付加価値ベース、一定規模以上)である。2015年は前年比6.1%増と2014年の同8.3%増を2.2ポイント下回り大きく減速した。2015年の流れとしては、3月と10月に前年同月比5.6%増、6月に同6.8%増、11月に同6.2%増となっており、昨年は6%前後で一進一退の動きとなった(図表-5)。

中国経済5

直近12月は同5.9%増と、11月の同6.2%増をやや下回り、工業生産の一進一退が最近も続いていることを示した。また、供給面を見る上ではPMIもタイムリーで有効な指標となる。製造業PMIを見ると、2015年は図表-6に示したように拡張・収縮の境界となる50%を挟んだレベルで推移、特に8月以降は50%を5ヵ月連続で下回り、景気失速の懸念を高める原因となった。

直近12月の製造業PMIは49.7%と11月よりも0.1ポイント改善したものの、同時に発表された12月の予想指数は44.6%と50%を大きく割り込み、景気の先行きに対する不安の高まりを示す結果となった(図表-7)。

中国経済6

一方、非製造業PMI(商務活動指数)を見ると、2015年は図表-6に示したように拡張・収縮の境界となる50%を上回るレベル(単純平均すれば53.6%)と堅調に推移し、景気を下支えする要因となった。直近12月の非製造業PMIは54.4%と11月の53.6%を大きく上回り、非製造業は足元でさらに改善した模様である。

但し、同時に発表された12月の予想指数は58.3%と11月よりも1.7ポイント低下しており、先行きに対する不安が浮上してきた。しかし、レベルが依然として高いことから、非製造業は今のところ堅調を維持していると見て良いだろう。

従って、2015年の中国経済を供給面から総括すると、製造業の動きが冴えず工業生産も昨年の伸びを大きく下回ったが、非製造業の堅調に下支えされて減速幅は小幅に留まったといえるだろう。