カタールの首都ドーハで2月16日、原油市場についての協議を設けたサウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの主要産油4カ国は、石油生産量を1月水準で維持することで合意に達した。

しかし、合意内容が「イラン、イラクを含む主要産油国が生産量を拡大しない限り有効」という条件付きの合意であるため、市場は実際の効果には懐疑的なようだ。合意発表後のニューヨーク原油相場は1バレル29ドルから31ドル台に上昇したものの、28.86ドル(日本時間17日16時50分現在)まで再び落ち込んでいる。

ワインバーグ氏「イラン、イラクの介入なしでは無意味」

協議にはサウジアラビアのアリ・ヌアイミ石油鉱物資源大臣とロシアのアレクサンドル・ワレンチノヴィチ・ノヴァク・エネルギー相を始め、石油輸出国機構(OPEC)の加盟国からサダ・エネルギー工業大臣やベネズエラのラファエル・ラミレス石油相が参加した。

2014年後半から続いている出口の見えない原油安のトンネルに、サウジアラビアやベネズエラなど原油の生産を経済基盤としていた産油国の経済状況は軒並み悪化。1月には1バレル26ドル台まで落ち込み、2003年以来の最低水準を記録し、サウジアラビアは国営石油会社アラムコの上場に乗り出すなど苦肉の対応策を打ってきた。

今回の協議は原油価格底打ちの原因の1つである「供給過剰」を緩和する目的で行われヌアイミ石油鉱物資源大臣は「市場価格の安定に向け、今後さらなる対策を打つ」と、他国と協力しながら原油価格の回復を試みる意思を示している。このことからも、これまでOPEC非加盟国(イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ以外の産油国)が減産に同意しない限り、自国の生産量を減らす意思はない——という構えを崩さなかったロシアやサウジアラビアが、OPEC非加盟国と著しい譲歩を見せたように表面上は受け止められている。

しかし、イランは合意の意思を見せていない。「イランとイラクが介入していない合意など無意味なだけだ」という独コメルツ銀行のコモディティ調査部門責任者、エウゲン・ワインバーグ氏の言葉が表しているように、今回の合意があくまで「生産量が既に頭打ちしていた産油国間の凍結」であって、全産油国間の減産を意味することではないため、現時点ではどれほどの効果が期待できるか予想がつきにくい。(ZUU online 編集部)

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