原油市場
(写真=Thinkstock/Getty Images)

2014年の夏以降、原油市場は1バレる100ドルを割り込みその後半年間で急落、2015年1月には半値以下の40ドル台まで下落した。その後再びリバウンドしたものの60ドル台に戻すのがやっとで、そののちサウジアラビアなどの増産もあり再び下落トレンドへ。一時20ドル台まで下落し、現在30ドル台前半の動きとなっている。

原油市場の下落には、増産や大口消費国である中国の景気鈍化懸念など諸要因があるが、一番の要因は元来商品市場の一つである原油市場が、金融商品化したことが挙げられる。リーマンショック以来、世界は低金利と金融緩和の状態が長く続き、この結果あふれ出た資金が株式市場や債券市場に流れ込んだ。さらにはリスクが高い新興国市場やジャンク債などのハイイールド債券にも流入することになり、これらの資産価格は大きく上昇した。しかし、それでも金融緩和による流動性供給は続き、そのうちに金融緩和によりあらゆる金融市場に流れ込んだ資金がさらに商品市場にも流れ込むようになった。つまり商品市場の金融市場化である。その一例として、米国で最大の公的年金運用機関であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)でさえも、金融緩和当時は商品市場にその運用資金全体の5%程度をつぎ込んだことでもわかりだろう。

しかし金融緩和状態から一転して金融引き締め状態に変化する転換点となった米国FRBのいわゆる「テーパリング(利上げ)」への金融政策の転換とともに、原油市場もその上昇エネルギーを失い、バブル化した原油市場は、バブルが萎むように下落していった。その流れで、そういった資産へ投資している投資信託の基準価額の下落が目立った。その意味では原油市場の下落は投信市場にも大きな影響を与えていることになる。

また商品市場に連動するように設定された投資信託は原油市場との相関率が高く、さらに資源国であるオーストラリアやブラジルなどの債券を中心に運用している投資信託なども基準価額下落と資金流出が目立つ。逆に原油を消費するような消費国、この中には日本も入るが、新興国であればインドなどは原油市場の下落に対しての恩恵を直接に受けており、インド株投信などは原油市場とは逆相関の関係にある。

原油市場の動きに直接連動する投資信託とは

上述のように原油市場と相関が高い投資信託は多いが、その中でも原油市場との相関性が高い投信としては、直接原油市場と連動する原油ETFがある。日本では2009年に初めて登場した比較的新しいETFであり、いままでも原油を投資対象とした投資信託はあったが、手数料などが高くあまり人気化されなかった。しかし原油ETFは原油市場にそのまま連動するように設計されたETFであり、現在日本の証券取引所に上昇されているのは、WTI原油連動型上場投信 <1671> 、ETFS WTI原油上場投信 <1690> 、NEXT FUND NOMURA原油インデックス連動型上場投信 <1699> の3本だけである。また出来高などの流動性ではWTI原油連動型上場投信 <1671> 、WTI原油連動型上場投信 <1699> が圧倒的に多くなっている。

3月をすぎれば原油市場も反発か

これまで述べたように原油市場と相関性が高い投資信託は多く、その中でも原油ETFは原油市場と直接に連動することを述べた。そうであれば、今後の原油市場の動向が下落から上昇に転じるところでこのような原油価格連動型のETFは注目が集まるだろう。最後に今後の原油市場の動向について見ていこう。

WTIの原油価格は、2014年以前の100ドル台から比べると約1/4程度まで売り込まれている。相場格言で底値の目安として古くから言われている「半値八掛け二割引き」では1/3程度であり、WTIの最高値の140ドル台から見れば現在30ドル台はおよそ2割まで売られたことになる。これらの目安に大きな根拠はないものの、中国景気鈍化懸念が今後財政出動などで払拭され、シェールガス企業の借換えなどファイナンスへの懸念が3月を過ぎれば少なくなってくると見られる。原油市場にもポジティブな影響を与えるだろう。

また米国の原油在庫の増加など原油供給の過剰懸念も、世界の総供給量から見るとわずか数%に過ぎず、今後世界景気が持ち直してくれば、この供給過剰懸念も払しょくされる可能性がある。その時には原油市場も大きく上昇して再び40~60ドル辺りまでの戻りは期待できよう。したがって、現状で安値圏と見られる原油価格に連動する原油ETFへの投資は魅力的なものと思われる。(ファンドアナリスト)

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