REIT(REIT)とは、Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)の略である。ここで投資信託という名称がついているが、一般の投資信託は資産を預かって運用するファンドのことだが、REITは資産を預けることはなく、自分で売買ができるので株式投資に似ている部分がある。一口にREITといっても、どの分野の不動産関連に投資しているのかなどに違いがあり、それぞれの商品ごとに特徴がある。

景気の恩恵を受けやすい商業施設やホテルなどが中心のものや、賃料が安定している物流施設や住居が中心のものなど多様であるが、一番の特徴は高配当(分配金が高い)であるということである。REITの制度においては「J-REIT(日本のREIT)において、利益の90%以上を投資主へ分配すれば法人税が課せられない制度がある。この制度を利用する限り法人税が課せられないので、REIT保有者は通常よりも高配当を受ける可能性がある。

また通常の不動産投資であれば、物件そのものを購入する必要があり、高額の資金が必要であるが、REITの場合は1口数万円から購入できるので、少ない資金での不動産間接投資が可能となる。また複数の不動産に投資するのでリスク分散もはかれる。現在REITで東証に上昇している銘柄は53銘柄あり、それらに投資すれば売買が株式と同じようにできる。この53銘柄の全体平均の2月末現在の分配金予想利回りは3.26%となっている。また間接的な不動産投資となるために、インフレヘッジができる商品である。

REIT市場の現状と今後の動向は

1月末に日銀がマイナス金利導入を発表して以来、2月前半は軟調な地合いだったが、実際にマイナス金利を適用開始以降は、ほぼ値を戻す展開となってきており、さらに10年国債の利回りがマイナスとなってからはその上昇スピードが早まってきているようだ。当然ながらマイナス金利の導入で銀行からの借入れ金利も低下傾向にあり、不動産購入の借入コストの減少や、その他分配金の増加期待もあり、現状では好調な投資商品と言えよう。またJ-REITは日銀の買い入れ対象商品にもなっていることで、ある程度の下支え要因と見ることが出来る。

このように今後もさらに日銀が追加緩和政策を取る可能性があり、その際に量的緩和の一環としてJ-REITの買い入れ額の増加なども考えられる。したがって今後もJ-REIT相場の地合いは悪くはないだろう。しかし、一方で米国景気動向や中国のハードランディング懸念などの不安要因もあり、さらに日本経済も再びデフレ傾向になってくれば、REIT市場も低迷する危険性もはらんでおり、そうなればJ-REIT市場には逆風となる。

REIT市場は上昇トレンド入りか?

ここで、上場している53銘柄全体を時価総額の加重平均で算出した東証REIT指数を見てみよう。2015年1月に高値を付けた同指数はその後下降に転じたが、その後2015年10月末に発表された日銀の追加緩和で上昇に転じてきている。現状ではその高値に向かい上昇中と見える。また長期で見ると株式指数とほぼ同じように2007年5月に最高値を付けた後は下落に転じたが、ようやく2012年12月からの安倍政権樹立で明確な上昇トレンド入りとなって来ている。当面は2015年年初の高値に向かう可能性が強い。

しかし、2015年初の高値までの上昇余地はあまり残ってはおらず、現段階で初めて買いを入れることが良いかどうかは、今後の不動産市場の環境にも左右されるので不透明である。さらに現段階ではやや過熱感も出てきており、短期的な売買を指向する投資家には向いていないかもしれないが、3~5年程度の長期保有の投資家には向いていると思われる。またインフレヘッジの観点からもREIT投資は適していると言えよう。

REIT投資にもさまざまなものがある

上述のようにREIT投資は現状ではやや過熱気味かもしれないが、長期投資家には適していると言った。一方で東証REIT指数に連動するETF(上場指数連動投信)も商品化されており、6銘柄が現在上場している。この東証REIT指数連動型ETFを売買すれば短期投資家にとっても、売買が株式と同じような感覚でできることから便利である。この中でもNEXT FUNDS東証REIT指数連動上場投信 <1343> が時価総額が一番大きく、また出来高も多い。

さらに東証REIT指数以外の海外のREIT指数に連動しているETFもある。それが上場インデックスファンド豪州REIT <1555> (対象インデックスはS&P/ASX200A-REIT)とiシェアーズ米国REIT・不動産株ETF <1590> (対象インデックスはダウジョーンズ米国不動産指数)の2銘柄も東証に上昇している国際型のETFである。

またこれらのように国際型REITは国内型に比べて分配金利回りも高く、現在でも2ケタの利回りがある。また海外型は為替市場の動向や同国の金利状況なども見ていかなければならない。そうは言っても、日銀のマイナス金利が導入されて以来、債券型の投信は利回りが減少しているのが実情であり、今後もそれが続くのであればこのようなREIT投資も考慮の余地があるのではないか。(ファンドアナリスト)

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