6日の東京市場は、ドル円相場が106円65銭で始まり、前週末の米雇用統計が市場予想を大幅に下回ったことを背景とした円買いから106円42銭まで下落した。しかし、菅官房長官など、政府要人による円高けん制発言から値を戻した。海外市場では、イエレンFRB議長のタカ派寄りの発言から、ドル買いの流れとなり、一時、107円67銭まで上昇した。

7日の東京市場は、日本株の下落に連れる形で107円台前半まで下落した。その後は株価が持ち直すと、再び107円台後半を付けた。海外市場では、原油先物価格や欧州株の上昇から107円91銭まで上昇したものの、米10年債利回りの低下から107円15銭まで下落し、107円台前半でニューヨーククローズとなった。

8日の東京市場は、1-3月期GDP改定値で上方修正が発表されたことで、円買いの流れとなった。106円台後半を付けたものの、長くは続かず、107円を挟んで小幅な値動きだった。海外市場では、米長期金利の低下から106円58銭を付けたものの、利上げ先送り期待から米国株が上昇し、リスクオンとなり、再び107円台まで値を戻した。

9日の東京市場は、日本株の下落から、106円台半ばまで下落したものの、方向感に乏しい展開となった。海外市場では、原油先物価格や欧州株の下落からリスク回避の流れとなり、一時、106円24銭まで下落した。ただ、米新規失業保険申請件数で良好な結果が発表されると、107円18銭まで上昇した。

10日の東京市場は、107円を挟んで方向感の乏しい展開だった。海外市場では、米5月財政収支が市場予想を上回ったことで、一時、106円55銭を付けたものの、長くは続かず、106円75銭まで戻して週の取引を終えた。

今週の為替展望

今週注目される経済指標は、13日の4-6月期法人企業景気予測調査、中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、中国5月都市部固定資産投資、14日から15日のFOMC、15日の米5月小売売上高、米6月NY連銀製造業景気指数、米5月鉱工業生産、15日から16日の日銀金融政策決定会合および黒田日銀総裁の会見、16日の米1-3月期経常収支、米6月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、18日の米5月住宅着工件数などである。

今週の外国為替であるが、注目すべきは、FOMCと日銀金融政策決定会合となっている。ただ、今回のFOMCで利上げが発表される可能性は低く、市場もそれを織り込んでいることから、方向感は出づらいだろう。それでも、FF金利見通しの引き下げなどの可能性から更なるドル円相場の下落はあり得る。実際、イエレン議長は6日の講演で、雇用統計の悪化から「景気の先行きに新たな疑問が示された」と述べている。

日銀金融政策決定会合では、安倍首相が消費増税を延期したことで、財政の拡大と歩調を合わせる形での追加緩和が期待されているものの、一方で、延期の期間が2年半と長いことで増税がもたらす痛みに対処するための追加緩和の積極性は低下しているとの見方もある。

テクニカル面では、週足ベースのボリンジャーバンドはローソク足が、マイナス1σからマイナス2σの間であり、週足14週のRSIは、30%台半ばとなっていることから、やや円が買われ過ぎといえる水準となっている。

以上を考慮すれば、FOMCでサプライズは期待できず、近頃の黒田日銀総裁の市場との対話を軽視したスタンスから、会見での追加緩和に関する言及の可能性は高いものの、今回の会合での追加緩和の可能性は低いため、中立からやや弱気が妥当だろう。(ZUU online 編集部)

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