不妊治療における問題点

問題としては、まず身体的な苦痛だ。不妊の原因を調べるために、女性はかなりの数の検査を受ける。しかしその分、身体に負担がかかることになる。

例えば卵管が通っているかを検査する「子宮卵管造営(HSG)」。この検査は人によっては、痛みを感じる場合がある。

その他にも、めでたく妊娠できたとしても「多児妊娠」「子宮外妊娠」などのリスクも潜んでいる。

次に「費用」。少ない人は10~30万円程度で済んでいるが、全体の55%が100万円以上の費用がかかっている。治療期間が長引くほど妊娠率は下がり、高額な治療へと方向転換せねばならなくなってしまう。

また「心理的な苦痛」もある。体外受精で妊娠した夫婦の6割は3回までの治療で妊娠していることに対して、約1割の夫婦は10回以上の治療を経てやっと妊娠しているという個人差が存在している。

妊娠を強く望む女性側が特に「周りの人はすぐに授かったのに、どうして自分はうまくいかないのか…」と思い悩む人も少なくない。治療期間が長くなる分、心的ストレスは大きくなり夫婦仲に亀裂が入り、、離婚に発展する場合も少なくない。

そして「男性不妊」。なかなか妊娠しない夫婦では、女性側に何らかの原因があると長らくされてきた。しかし最近ではストレスや生活習慣などが原因で、夫婦生活が成り立たない・精子そのものが作られないなどといった、男性側に原因があることも少なくない。

「男性側の治療に対する消極性」も問題だ。多数の女性不妊の検査を行い、それでも原因が見当たらなかったら、初めて男性の検査が行われる。その検査が「精液検査」。これを屈辱的にとらえる男性が多く、治療や検査そのものを拒否する男性も少なくない。

最後に「成功率」。体外受精による成功率は32.5%。この数字をあなたは多いと思うだろうか、少ないと思うだろうか。たしかに年々成功率は上がってはいる。しかし世界的に見ると、実施数は世界1位なのに対して成功率は世界最低レベルと悪ぎる。

何よりも大切なこと

何より大切なのは、夫婦間でのコミュニケーションや周囲の理解だ。不妊で悩む夫婦は、周囲の何気ない一言で大いに傷つくものだ。不妊治療に頭がいっぱいになって夫婦間のコミュニケーションが疎かになり、意見が違って離婚に至るケースもある。

たしかに不妊治療をしていることを公言する夫婦も多くないため、自分が「周囲」にあると気づかないこともあるだろう。ことに治療には精神的な負担がかかるため、悪気のない一言が苦しめる可能性だってある。そこは想像力が必要だろう。(ZUU online 編集部)

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