30年の長期運営、不測の事態への対応に課題

しかし、米国テキサス州では3月、有料道路の運営権を持つ民間企業が営業不振で日本の民事再生法に該当する連邦破産法の適用を受けている。管理以外に一部建設事業を受け持っていたこともあり、多額の負債を抱えたうえ、交通量が事前予測を大きく下回り、会社の収支を改善できなかった。

愛知県道路公社は民営化した8路線の通行台数や路線別収支を公開していないが、2014年決算では180億円近い収入があり、うち110億円程度を借金の返済やプール制の損失補てん引き当てに活用していた。収入の大半がこの8路線だったという。

愛知県有料道路コンセッション推進室は「沿線に中部国際空港が存在することもあり、決して内容の悪い路線ではない。民間活力を生かせば、発展の可能性を十分に秘めているのではないか」とみている。

愛知県の人口は自動車産業の集積などから、現在も増加を続けているが、今後は減少に向かう。地域間や商業施設、観光施設間の競争も激化していくだろう。しかも、運営期間が最長30年という長期に及ぶだけに、想定していない事態も起きかねない。有料道路を地方創生の起爆剤にできるのか、真価が問われるのはこれからだ。

高田泰 政治ジャーナリスト この筆者の記事一覧
関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。

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