インバウンド消費のトレンド変化も吸収

低コストで新規出店を果たしたとしても、人口減少が続く国内市場で拡大路線を継続するのは至難の技。

ドンキホーテの成長を支える要因として、インバウンドによる外国人旅行者による消費が挙げられる。日本政府観光局(JNTO)によると、2015年の訪日外客数は1974万人で、2016年は8月までの統計で1606万人と前年を上回る勢いを見せている。

しかし、訪日客の象徴ともいえた中国人観光客を中心とした「爆買い」は勢いを失い、特に高額商品を取り扱う百貨店は大打撃を受ける。百貨店の免税売り上げは、8月まで5カ月連続で前年割れとなり、客単価は7割ほどの水準まで落ち込み、訪日客の消費パターンが腕時計やブランドバッグなどの高級品から化粧品などの消耗品へシフトしている姿が浮かび上がる。

ドンキホーテも例外ではなく、2014年9月には5万円を超えていた客単価は、1万円前後までに落ち込んだ。客単価の落ち込みをカバーするのが、客足の増加で、その数は月25万人に迫る勢いだ。大阪の道頓堀御堂筋店と道頓堀店は免税品の売り上げがそれぞれ57.3%、53.8%と半数を超える。さらに、クルーズが寄港する沖縄・福岡でも、国際通り店が45.8%、中洲店が37.3%と、インバウンドの効果がゴールデンルートから地方にまで波及している。

訪日外国人が店舗を訪れる時間帯にカギ

さらに興味深いのが、訪日外国人が店舗を訪れる時間帯だ。最も客数が集中するのが22時台で、百貨店やスーパーが閉店した20時‐24時の客数が他の時間帯と比較して突出している。特に格安航空会社を利用して訪日する外国人観光客は、フライトが深夜早朝になるケースも多く、日中は各地で観光を楽しみ、出発ぎりぎりまで買い物を楽しむ姿が鮮明となった。深夜営業を展開するドンキホーテはこうした需要を着実に取り込み、勢いの落ちた爆買いを、客数の伸びで堅実にカバーしている。

ドンキホーテは2017年6月期では、売上高を8200億円、純利益268億円の目標を掲げ、28期連続の増収増益に向けてまい進する。他社の撤退店舗を蘇らせ、インバウンドの消費パターン変化にも柔軟に対応するドンキホーテの勢いはどこまで続くのか。(ZUU online 編集部)

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