都心への出店で客層拡大

ニトリは、直近の4年間の決算では、客数が前年度割れと伸び悩んでいたが、2016年2月期では、前年度比2.0%増と客足の増加に成功した。これまでの出店戦略は、郊外大型店が中心だったが、ここにきて都市部への進出に挑み、プランタン銀座店や心斎橋アメリカ村店(大阪)などを続々とオープンさせた。

さらに高付加価値商品の開発にも乗り出し、客数とともに、新たな客層の獲得に成功。また、自社開発商品を展開する「NITORI STUDIO」では、自社工場での製造で低価格を維持しながらも、ソファやベッドフレーム、キッチンボードなどで、色やサイズ、デザインをカスタマイズできるセミオーダー商品が支持を集め、売上アップに貢献。

その他にも自社で開発した商品のヒットにも恵まれた。調理した後、そのままテーブルに置いてカフェのような食卓を演出できる「スキレット鍋」(498円税込み)は、そのお洒落なデザインに加え、保温性が高く冷めにくい機能性も持ち合わせ、50万個を販売するヒット商品となった。また、帝人 <3401> と共同開発した超軽量高密度生地を使用し、従来の保温性を維持しながらも約40%の軽量化を実現した「かるふわ羽毛掛布団」は、グッドデザイン賞に輝くなど話題をさらった。

好調な業績に連動して、株価も右肩上がりで上昇。6月の英国のEU離脱を決定した国民投票以降、世界経済の減速懸念などから、夏場は下落基調をたどった株価だが、足元では再び上昇トレンドに転じている。2016年2月期には1株当たりの配当金が65円の実績を残したが、17年2月期には5円アップし、70円まで引き上げ13期連続の増配を見込み、株価の下支えとなりそうだ。

新たな活路は海外展開

都心部への出店で新たな客層の取り込みに成功し、カスタマイズ商品の展開で、顧客それぞれのニーズにマッチした商品販売を実現し、さらに、オリジナルのヒット商品で売上げを伸ばしたことで29期連続の増収増益の達成につながった。

右肩上がりの成長を続けるニトリだが、国内市場は人口減少とともに、競合他社とのし烈な顧客の争奪で、先行きは厳しさを増す。新たな活路となりそうなのが海外展開。2016年2月期では420店舗のうち海外拠点は37店舗にとどまる。2014年に1号店をオープンさせた中国では、2022年までに100店舗まで拡大する構想を描く。

さらに、2017年度にはベトナムに商品の製造拠点となる新会社を設立する予定。アベノミクスによる景気刺激の勢いに陰りが見え、消費者マインドが冷え込みつつあるなか、成長が続くアジアの需要を取り込みながら、グローバル企業への仲間入りを果たし、堅調な業績アップを継続できるか。札幌で小さな家具店からスタートしたニトリの挑戦は続く。(ZUU online 編集部)

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