JR九州の新規上場は意外と注目「3つの理由」
まずJR九州が①に当てはまらないことは容易に想像ができる。JR九州は時価総額は3920億円と想定されており、株価が2倍以上になるIPO銘柄の時価総額数十億円の基準をはるかに超えている。またJR九州は東証に上場する予定だが、これまでの傾向からするとおそらく東証1部になると思われる。一見すると時価総額や市場区分から見ても、③にあてはまりそうだ。
ただ、今回のJR九州の場合、個人投資家からの支持が大きいことが予想される。以前、JR九州のIPOが個人投資家目線で注目の株である3つの理由という記事を書いたが、そこで下記3つの理由を挙げている。
1. JRブランドのついたインフラ系企業として個人投資家が手がけやすい
2. 配当+優待の株主還元が充実している
3. 業績の復調期待
上記3つの理由により個人投資家から幅広い買いを集めることが予想できる。
しかも、想定の公募価格では2400円から2600円(おそらく上限の2600円で決まると予想される)と個人投資家が買いやすい値段であることも上場時の初値の高さを後押ししそうだ。
ここからさきほどのIPO初値の傾向である②である可能性が高そうだが、最初の売り出しをする株数が1億6千万株とのことから、そう簡単には株価は上がらないものとみる。
そこで仮に②であるとしても初値はいくらになるかが問題となる。
JR九州の初値予想「3000円〜3300円」
多くの個人投資家の予想としては2800円から3000円程度とみる向きがあるようだ。しかし筆者は次の3点の理由があるために、売り出し株数が巨大であってもJR九州の初値は高く押し上げられる(さらに上ぶれする)と予想している。
1. 昨年は郵政・かんぽ生命・ゆうちょ銀の3社同時上場で投資家の資金が3つに割れたが、今回は1社のみ。
2. 今年のLINEの初値が想定以上に高騰したことから注目度の高いIPO銘柄として再び投資家の買いが集まる。
3. 相場が再び復調基調になってきている
いずれもJR九州の初値を押し上げるために重要な要因だと考えている。
昨年は郵政3社がちょうど同じ時期に上場したがいずれも初値は公募を上回った。3社が同時に上場するということは投資家の資金は3つに割れたということである。今回は1社のみの上場ということで資金は集中しやすい。
またLINEが思わぬ上場を見せたことから期待感から同じように、公募で取得できなかった投資家が初値での買いを試そうとしてくることが予想される。さきほど個人投資家からも人気が高い要素が揃い踏みだと説明したが、公募で取得できなかった個人投資家の多くは初値での買いを試みる場合が多い。
3は意外と重要だ。注目のIPOであっても全体相場の良し悪しに影響を受けることがある。今現在全体相場は比較的落ち着きをみせ、10月11日には日経平均株価が1万7000円台を回復したとのニュースも流れている。市場が回復傾向にあるといわゆる「市場心理」が良くなり、個人投資家の資金も回りやすくなる。
以上の点から筆者は下記のようにJR九州の初値を、「3000円〜3300円」の範囲内(個人投資家予想の10%程度の上ぶれも期待できるとみている)と予想する。
谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学を卒業後、証券会社において証券ディーリング業務を経験。2級ファイナンシャルプランナー。ヤフーファイナンスの「投資の達人」においてコラムニストとしても活動。2015年には年間で「ベストパフォーマー賞」「勝率賞」において同時受賞。ネットマネーや日経マネーと言った経済雑誌での執筆活動も行う。個人ブログ「
インカムライフ.com
」を運営。
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