「中・韓」関係に亀裂? スワップ協定再浮上の理由
現在、日本はチェンマイ・イニシアティブのほかに、米ドル、ユーロ、ポンド、スイスフランなど、主要通貨を持つ各国と無制限・無期限のスワップ協定を締結している。
韓国も中国元との550億ドル相当の通貨スワップをはじめ、インドネシア、UAEなどと合わせて1000億ドルを超えるスワップを締結しているが、すべて相手国通貨とのスワップであり、米ドルやユーロなど主要通貨のスワップはチェンマイ・イニシアティブの他国籍協定のみである。
2015年10月26日、日本経済団体連合会(経団連)が主催した第25回韓日財界会議で、韓国全国経済人連合会(全経連)の許昌秀会長が日韓スワップの再開を検討すべきであると発言。翌2016年1月、韓国の柳一鎬経済副首相兼財政長官は日韓スワップの再開に関心を示し、麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣も要請があればやぶさかではないと答えているが、具体的な動きはなかった。
一転して、韓国政府による正式なスワップ再開の提案があったのは2016年8月27日。ソウルで開催された第7回日韓財務対話で、韓国政府から二国間の経済協力を強化することと、双方同額の新しい通貨スワップ協定の締結の提案があり、両国政府は通貨スワップ協定について議論を開始することに合意した。
その理由は、韓国のスワップの半分を占める中国元が、2017年10月に満期を迎えることに関係している。両国政府は延長には合意しているが、韓国中央日報によると韓国が要請する規模拡大に中国側が難色を示しているというわけだ。北朝鮮の軍事行動を受け、米韓両国は2016年7月、在韓米軍へTHAADを配備することを決めたが、中国は韓国へのTHAAD配置に反対。韓国と中国の関係に亀裂が入り始めているのである。
日韓スワップの再開協議について、韓国政府は韓国のメディアや専門家の間では、経済・政治両面において、中国偏重のリスクを避けて日本との関係改善にシフトする兆しという見方が強い。アメリカとのスワップを優先させるべきという専門家もいるが、米韓スワップは協議のメドすら立っていないなかで日韓スワップ協定が今度どなるかに注目だ。(韓国在住 CFP® 佐々木和義)
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