借金で成長するソフトバンクのレバレッジとリスク

ソフトバンクは、借入をしては企業買収を行うことで拡大し、ビジネスチャンスを増やしてきた。つまり「借金力」が成長の原動力となっていると言える。 アリババが上場すれば、ソフトバンクはさらなる価値がある担保を保有することになり、ますます借金能力が高まることになる。 例えばソフトバンクは2006年に、ボーダフォン日本法人を買収する際に1兆2800億円を借り入れている。また、買収後改革を行う事で携帯電話事業からの営業利益を拡大させることに成功し、昨年4~12月期の営業利益は買収前の9倍に達している。 2013年のスプリント買収時にも、1兆2900億円の借り入れを行っており、 現在は、Tモバイル買収のために、ゴールドマン・サックス・グループやみずほ銀行など複数の銀行から資金調達の協議を行っていると言われている。

このように、レバレッジを効かせたソフトバンクの急成長に対し、懸念する声もあります。 ソフトバンクがスプリント買収により抱えた有利子負債が昨年末で9兆2000億円に達している。そのためソフトバンクがスプリント買収を完了した直後、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスはソフトバンクの発行体格付けを投機的水準のBa1、つまりジャンク級に引き下げている。スタンダード・アンド・プアーズも長期格付けをBB+、同様にジャンク級に引き下げている。 市場関係者は、ソフトバンクは世界でも最もレバレッジが高い会社だと評価する一方、もし、リーマンショックのような市場の崩れが出た場合は、ソフトバンクの債務拡大が生じる危険性も指摘しているのである。


Tモバイル買収は可能か

ただ、今回は米規制当局が、ソフトバンクのTモバイル買収によって、大手携帯通信事業者が3社に減り、競争が損なわれるのでは無いかと懸念していることが報じられており、 それに対して孫社長は、米PBSのテレビ番組に出演した際、Tモバイルの買収は、かえって米市場に大胆な価格競争をもたらすと主張している。

しかしTモバイル買収は不調に終わる可能性もある。市場関係者は、 Tモバイル買収が叶わなかった場合、アリババ上場で得た資金で欧州の携帯会社買収を行う可能性を指摘する。 いずれにせよ孫社長は、日本でのシェア拡大の限界が見えているため、世界的なシェア拡大を進めるはずだ、という予想である。


孫正義の野望

5月7日、ソフトバンクは都内で決算説明会を行った。2013年3月期の連結純利益(国際会計基準)が5270億円となり初めてNTTドコモの4647億円を上回った事について、孫社長は「1番になるんだという思いが大事」と語り、さらなる野望として「いずれトヨタも抜く」と業界を超えた競争に挑むことを意思表明している。 そのトヨタ自動車が8月に決算発表する前期の連結純利益(米国会計基準)は、1兆8904億円だと予想されており、 孫社長率いるソフトバンクグループは、さらなるレバレッジをかけて、成長を目指すはずだ。

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